・spam(スパム)の語源と定義
・逮捕も出ているマルチ商法型spam
・ルール破りの商品広告spam
・子供や女性へも届く卑猥なアダルトサイトspam
・仕事を邪魔するspam
・「私の送ったのはスパムではありません」
・「資本主義で広告活動は正当」
・「無くすのなんて出来ない」
・「受手側が捨てればいいだけ」
・「アドレスを公開しているのが悪い
・「私は嫌じゃない」
・「苦情は一部」
・「歯止めが效かないってそんな大げさな...」
1●spam(スパム)の語源と定義
1.1 spam(スパム)の語源
2.1 spam(スパム)の定義
2●論外なマルチ商法型spam(逮捕者さえ出ているspam)
3●ルール破りの商品広告spam(郵便DM・チラシ、電話勧誘・訪問販売との相違)
4●アダルトサイト広告spamが子供・女性へ?(無差別spamのあまりに大きい無駄・弊害)
5●仕事と一緒に来るspam(インターネットビジネス社会に及ぼす脅威)
1●spam(スパム)の語源と定義 |
インターネット上で集めた情報によればspam(スパム)の語源(の一説)は米国の缶詰商品SPAMであり、それが「迷惑」と結びつけられたのはSPAMを扱った英国のコメディコントからだそうです。
どのようなコメディかというと、レストランに入った夫婦がSPAMばかりのメニューに関して店の人と言い争っているうちに、控えていた合唱団が「SPAM,SPAM」と騷ぎだし、とうとう会話が出来なくなる、そのようなものだそうです。
このイメージからspamメールとは
「自分が欲しい肝心のメール(あるいは投稿)を埋もれさせてしまうような、自分にとっては必要のない、数多くのメール(投稿)のこと。あるいはさらに意味を拡大して、自分の望まない、精神的・時間的・金銭的被害を受ける可能性のあるメール(投稿)のこと」
に使われるようになったようです。インターネットで上のような行為がspamと呼ばれるようになった過程にはいくつかの説がありますが、詳しくはリンク集に載っている他の方の解説頁をご覧ください。
なお、このようにすっかり悪名の単語となってしまった「スパム」ですが、ネタにされただけのSPAMの製造メーカー・ホーメルフーズ社としては悪い意味での用法に「スパム」が使われる点は諦めてしまったようで、その代わりに「spam」の語を使用する際には固有名を示す大文字SPAMではなく、小文字をspamを使うよう推獎しているそうです。その考えを私も尊重し、今後は「spam」と小文字で表記することにします。
参考:
「これでもう一般常識? 『スパム』という言葉」(ZDnet)
http://www.zdnet.co.jp/news/9808/21/spam.html(現在消失、アーカイブへ)
缶詰ハムとスパムメールは「大文字と小文字で区別を」(ZDnet)
http://www.zdnet.co.jp/news/0105/31/b_0530_14.html(現在消失、アーカイブへ)
「スパム? SPAM? 迷惑メールめぐる『名前』騒動」(ZDnet)
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/0307/04/epn14.html
spam(スパム)の定義は様々で、他にも「ジャンクメール」などの呼び方のメールがあります。この「ジャンクメール」は日本語に訳せば「ゴミメール」(日本語?)ですが、「ゴミメール」は日本語メールやり取りの中では、「内容のないメール」という意味の自嘲語としてしばしば使われます。spamにせよ、ジャンクにせよ、ゴミにせよ、微妙にニュアンスが違います。
そのような中で「spamメール」を訳すとするなら「一方的迷惑広告電子メール」とでも言うのがふさわしいのではないでしょうか?。けれども長いですねえ。「迷惑メール」でも良いと思うのですが、「迷惑」はかなり主観的な言葉であり、たとえば「個人的に嫌いな奴」から来たメールだって「迷惑」と言えるわけですから、なかなか難しいものがあります。
私はローマ字、カタカナ語はあまり好きではないですが、やはりネット時代の新しい概念だと考え、一般に広まりつつある「spam(スパム)メール」で呼ぶことにします。
(日本では「spamメール」が「迷惑メール」と訳され、定着しつつある経緯はこちら)
それよりも大事なのはその特徴です。他の方の解説や自分自身の経験などを元に、その特徴を私なりにまとめてみましょう。 參考にさせて頂いた他の方の頁はリンク集をご參照下さい。
これが基本だと思うのですが、さらに私へ届くspamの特徴は
これらの特徴を持っています。なお、「spam」という言葉はメールだけではなく、掲示板などの「迷惑書き込み」「一方的な宣伝・広告投稿」も指していたのですが、最近ではメールに使われることが特に多くなっているようです。当サイトでも基本的には「spam」は「spamメール」のことを表すことにします。
参考:高津氏のサイトの「掲示板スパム投稿 対策サイト」
さらには近年、迷惑な広告・宣伝に関してはなんでも「スパム」のレッテルを貼る傾向にあるようです。あまり多用すべきでない気もがしますが、広告・宣伝の範疇であれば仕方ないでしょうか?
「あれもスパム、これも……スパム?」(ZDnet)
http://www.zdnet.co.jp/news/0210/10/ne00_spam.html
「検索エンジン最適化(SEO)」の「検索エンジン
スパム」
http://www.searchengineoptimization.jp/search_engine_spam/
では次に内容別に「spamメール」の問題点を見ていきましょう。
2●論外なマルチ商法型spam(逮捕者さえ出ているspam) |
あなたはマルチ商法問題を知っていますか?
マルチ商法問題とは詐欺とは言えないまでも、それにかなり近く、消費者を半ば騙すような形の各種商法のことを指します。例えばもっとも単純なものでは「サクラ」。つまり人を雇って、あたかもその商品が人気のあるかのように見せかけるものですね。
そしてマルチ商法の中でも、その被害の深刻さにほぼ完全な違法になってしまったのが、いわゆる「ねずみ講」です。マルチ商法の問題はあくまでspamの一つなのですが、念のため「ネズミ講」がどんなものか、一応述べておきましょう。
「四人の友達を連れてきました。私は彼らから一人づつ2500円を貰いました。彼らにもそれぞれ四人の友達を連れてきて同じことをするよう勧め、これを続けて行くよう勧めます。私の直接の友人4人は私に2500円払いましたが、彼らもそれぞれ4人の友人から2500円×4=10000円を貰えるので、直接の友人はそれぞれ一人7500円の得です。これを続ければみんな7500円ずつ得をします。誰も損をしません。『みんなハッピー♪』」
これのどこが問題なのでしょうか?
自分自身が一段階目だとすると二段階目は直接の友達4人。
三段階目は16人。四段階目は64人。五段階目は256人。
六段階目は1024人。七段階目は4096人。八段階目は16384人。
九段階目は65536人。十段階目は262144人。十一段階目で1048576人。
十二段階目で4194304人。十三段階目で16777216人。十四段階目で67108844人。
十五段階目で268435456人。とうとうこれで2億人に達してしまいました。実際に上で絡んだ人を含めると既に4億人に達しています。
つまり、あっという間に日本の人口、そして世界の人口を超えるのです。無限連鎖という言い方をしますが、実際には無限に連鎖できないので破綻します。その結果、払った2500円でさえ回収出来ない人が大量に発生します。
私がまだ小さかった頃、有価証券でこれを行ったグループがありました。それは法律の抜け道であり、法律では当時現金でしか禁止されていなかったのです。しかし多くの被害者が出て、大きな社会問題になり、とうとう現金は勿論、国債や証券等、金錢と等価なものによる「ねずみ講」は法律で禁止され、処罰されるようになりました。
その「ねずみ講」がインターネットにより復活してきました。見せかけはどうであれ、「仲間を集めてお金を徴収し、それを続けていき、得をする」という文句は、必ず「ねずみ講である」と言っても過言ではありません。実際、インターネットによるねずみ講で逮捕者が出るようになっています。
しかし本来、実はspamとマルチ商法の問題とは別な問題です。単にspamとの親和性があったに過ぎません。マルチ商法に関しては警察も法律を背景に断固とした取り締まりをしますので、届け出れば現在でも被害届を受け付けてくれると聞きます。
3●ルール破りの商品広告spam (郵便DM・チラシ、電話勧誘・訪問販売との相違) |
ダイレクトメール(DM)の問題に於いては、以前から郵送ダイレクトメール(以下、「郵送DM」と記す)の問題があります。ポストなどにチラシが勝手に配布される等の問題もあります。さらには広告宣伝という意味では電話などによる勧誘や訪問販売などがあります。
特に郵送DMに関しては「なぜ住所、氏名が知られているのか」ということで個人情報流出の問題がプライバシーの問題に関係して時々ニュースなどで取り上げられます。しかし未だに根本的な解決は見ていません。電話勧誘や訪問販売に関しては契約が不適切になりがちなことから、消費者保護の観点からの法律は出来ています。
しかしながら電子メールによるspamは郵送DMと違い、それではとらえられない大きな問題を含んでいます。
1.郵送DM・チラシには以下のような特徴があります。
2.訪問販売・電話勧誘には以下のような特徴があります。
3.それに対してインターネット上における一方的広告電子メール(spam)は以下のような特徴を持ちます。
4.しかも大局的な見地から考えた場合、
以上の点からインターネット上のspamは明らかに通常の商業モラルから逸脱した行為であると考えます。
資本主義の世の中である以上、確かに広告は必要です。しかし本来、広告とはそれだけ良い商品・サービスを提供していて、その販売で利益が出すことができ、さらに余裕がある場合に、売る側が痛みを伴って広告を行うべきであり、広告の負担を安易にインターネットの半公共性、ましてや利用者側に求めるのは企業としてもっとも恥ずべきことです。
4●アダルトサイト広告spamが子供・女性へ? (無差別spamのあまりに大きい無駄・弊害) |
先ほど、郵送DMの問題を出しましたが、郵送DMには個人情報流出の精神的不快感はあるにせよ、実は一定のモラルがあります。それは郵送料がかかる以上、「送っても意味のない人、逆に送ると反発を招きかねない所には送ってこない」ということです。
例えば貧乏人や学生のような所には多額のマンション購入などのDMは普通届きません(チラシは別です)。結婚適齢期に全く該当しない年齡の人へは、結婚仲介業者のDMは多分届きません。そしてこれが重要ですが、アダルト関係のDMは女性や子供、もしくは子供のいる家庭に届くことは少ないです。チラシでさえ、アダルト関係のものは子供のいるような一般家庭に配られることは多くないようです。
しかしspamは本当に「無差別」です。メールアドレス販売業者は受信者側の年齡も性別も職業も何も分かっていません。分かっていた方が良いとは言いませんが、spamが現在のままの場合、インターネットが普及していく中で、必ず子供や女性へもアダルト関係のspamが届くようになる恐れがあり、実際、そういう苦情も掲示板などで聞かれます。
アダルトサイトの氾濫、それへの子供接続が問題になる中で、きっとまず子供へのアダルト広告spamは大きな問題となります。それから女性ヌードを載せているカレンダーや新聞が女性蔑視と言うことで顰蹙を浴びる現在の世の中で、女性へも送られるアダルトspamも必ず問題になるはずです。
そうではなくてもspamには大きな無駄があります。
例えば私は携帯電話を持っていないのに携帯電話用のメルマガに勝手に登録されたことがありました。あるいは、ブランド品にも興味がないのに、携帯電話の「ブランド品の吊しひも」の宣伝が繰り返し届きました。またTVも持っていないのにTVのアンケートに協力して欲しいというspamが来たこともありました。
そしてもっとも無意味に近いのが英語のspamです。どんなにおいしい商売なのか知りませんが、それが海の向こうでは読む時間さえ割く気になりません。
ありがちなのが女性へのアダルトサイト、ポルノサイト広告です。興味のある女性もいるかもしれませんが(^^;;)、まあ多くの場合は極めて「とんちんかん」な広告と言えましょう。
spamが忌み嫌われる理由の一つには、このような「とんちんかん」な広告であることにも要因があると思われます。通常、広告とは
というものでなければならないのです。少なくとも一定以上は対象をしぼって貰うことが必要です。
そのように宣伝・広告とは慎重でなければならないのに、無差別に送られるspamはこの資本主義・自由主義の微妙な機微を全く理解してないのです。ビジネスをする上で、重要な認識が欠けているとしか思えません。
また無差別spamはウイルスメールの問題をも深刻化させます。不特定多数向けのメールが日常化した場合、ウイルスプログラムの広がりは従来よりも早く、そして深刻になる恐れが十分にあります。
5●仕事と一緒に来るspam (インターネットビジネス社会に及ぼす脅威) |
最近ではビジネスにおいてメールは必須のものとなってきました。
本来、「自分の見たいときに見られるから良い」という利点であった電子メールも、次第に電話と手紙の中間のような存在になりつつあります。その結果、メールソフトの設定によっては、メールが届いていないか一定の時間間隔で確認すようにしているビジネスマンも多くなっているはずです。
ところがこのような場合、仕事で用いるアドレスが前述のようなアドレスリスト販売業者に渡り、利用されたらどうなるでしょう?私の私的アドレスへは平均一日1〜2通ですがひどい場合には数十通来るとのことです。一日10通以内だって、仕事中の1〜2時間に一回届くことになります。
集中して仕事をしている時に、メールの届く知らせがキンコン鳴ってメールボックスを見てみたら、アダルト広告だった、ネズミ講宣伝だった、こんなのが毎日数時間おきでは仕事になりませんね。