■2.1章 研究者本 貳■ |
中国の城郭都市 殷周から明清まで 愛宕元 中公新書
中国の都市に行って城壁や門に登ったことのあるあなた!城壁の壮大さと、都市に欠かせない城郭の存在を痛感したことでしょう。
本書は「中国の城郭の通史」とも言える本で、中国の都市に行って城壁などに行く可能性のある人は必見の本です(^^)。古代から清末まで、特に著者の御専門の唐〜宋を中心に城の変遷や具体例、一体標準的な城郭はどのようなものだったのか、各種の記録や考古学成果を元に描いておられます。
「中国中世都市紀行 宋代の都市と都市生活」 伊原弘 中公新書
蘇州 水生都市の過去と現在 伊原弘 講談社現代新書
これで随分蘇州旅行を楽しませて頂きました。蘇州に行く方は必見だと思います。
雑想記記述予定。
「長安 絢爛たる唐の都」 京都文化博物館編
門脇禎二
町田章
田中淡
井上満郎
田辺昭三
礪波護
筒井紘一
渡辺信一郎角川選書
元の大都 マルコ・ポーロ時代の北京 陳高華、佐竹靖彦/訳 中公新書
元の大都は元寇で有名なフビライが築いた城で、基本的な構造は現在の北京に受け継がれています。壮大な構想に基づいて作られた大都に関して記述してあります。
文化などなど
花が語る中国の心 美女・美酒・美食の饗宴 王敏 中公新書
しかしそこに描かれる花は勝手気儘にその絵の雰囲気を盛り上げるためのものではありませんでした。すなわちほとんどがあるパターン化した決められた花、すなわち牡丹や桂、菊や蓮、桜桃などなどなどであり、そこには各種の吉祥を願う意味が込められていたのです。
中国人は古代から花に伝説や願いを込め、文物や料理にそれを取り込んできました。本書では主ないくつかの花について伝説や料理法を述べています。
「ああ、文化とはこういうことを言うんだなあ」と感じさせてくれる本です。さあ!あなたも本書を読んで月を見ながら桂花陳酒を飲もう!(^^)
中国の科学文明 藪内清 岩波新書
生活の世界歴史シリーズ(全10巻中1冊) 2巻 黄土を拓いた人々三田村泰助 河出書房新社
[未読]中国古代の文化 白川静 講談社学術文庫
中国喫茶文化史 布目潮フウ 岩波書店 同時代ライブラリー
これであなたもお茶が美味しく,感慨深く飲めること間違い在りません(^^)
恋の中国文明史 張競 ちくま学芸文庫
私の勝手な感想はここ。
蒼頡たちの宴 武田雅哉 ちくま学芸文庫
あまり系統的ではないですが,著者の幅広い知識に知的好奇心をそそられるなかなか面白い内容です。サントリー学芸賞受賞作。
人物とその時代
中国歴史人物選 第2巻「ゴビに生きた男たち 李陵と蘇武」 冨谷至 白帝社
李陵の話が後世、どのようにして有名になっていったかを書いた最終章が読み応えありでした。
私の勝手な感想はここ。
中国人物叢書3 劉裕 吉川忠夫 人物往来社
『「貞観政要」の政治学』 布目潮フウ 岩波書店 同時代ライブラリー
本書では『貞観政要』の成立した背景を述べ、続いてその内容に関して「創業と守成」「公平」「仁義」などに章を分けて述べてあります。基本は『貞観政要』にそって述べてあり、研究結果による新しい見解などはあまりなかったように思いますが、『貞観政要』の基本を押さえたり、太宗の周辺人物を把握できたりする点で有用な気がしましました(といっても既に印象を忘れている^^;;)。
『楊貴妃 大唐帝国の栄華と暗転』 村山吉廣 中公新書
則天武后-女性と権力- 外山軍治 中公新書
私の勝手な感想はここ。
中国歴史人物選 第4巻「則天武后」 氣賀澤保規 白帝社
馮道 乱世の宰相 礪波護 中公文庫
中国には典型的な乱世時代が何回か在りますが、春秋戦国、楚漢争覇、東晋十六国南北朝に続くのが五代十国でした。それは唐時代と宋時代を繋ぐ時代ですが、たかが60年ばかりに過ぎない時代に様々な特徴を持つ王国が乱立しました。
本書では五代を生き抜いた馮道の一生について書き、また同時に五代という時代を描いています。ということで五代十国を詳しく知りたい場合にも必読です。
雑想記記述予定。
乱世の皇帝 −"後周"の世宗とその時代− 栗原益男 桃源社
1979年刊。本書では後の宋の統一の土台を築いたと言える後周の世宗を焦点にして、五代十国を概観しています。前述の『馮道』が五代十国の前半中心なのに対して、五代十国の後半が特に詳しいです。全体的に『馮道』よりも詳しく、五代十国を知りたい人にはやはり必読の本でしょう。
[未読]宋の太祖と太宗 竺沙雅章 清水書院 歴史新書
中国歴史人物選 第5巻「范仲淹」 笠沙雅章 白帝社
本書ではその彼の実像に迫っており、宋の眞宗・仁宗期の士大夫たちの様子を概観できます。
[未読]王安石 三浦 国雄 集英社
水滸伝 虚構の中の史実 宮崎市定 中公文庫
「クビライの挑戦 -モンゴル海上帝国への道」 杉山正明教授 朝日選書525
いわば「中国から見たモンゴル史」ではなく「世界史から見たモンゴル史」からクビライの一生を描いています。前述の「モンゴル帝国の興亡」に比べるとクビライに絞って描いていますが主張はほぼ同じ視点です。
永楽帝 寺田隆信 中公文庫
[未読]鄭成功−明末の風雲児 寺尾義男 東方書店
中国人物叢書7 王陽明 谷光隆 人物往来社
「陽明先生、躍如たり!」とでもいうような文武両道、王陽明の実践と理論を描いた好著です。すごいぞ陽明先生!(^^)
「明末のはぐれ知識人 馮夢龍と蘇州文化」 大木康 講談社選書メチエ
受験参考書、説話集、などなど著述によって生きることを余儀なくされ、しかしそれゆえに後世、並の官僚よりは青史に名を残すことになった彼の一生を描いています。なお科挙に受からなかった多くの人々のことを思わないではいられません。
明末の文人 李卓吾 中国にとって思想とは何か 劉岸偉 中公新書
「中国は儒教思想に凝り固まっていてその領域からうんとも寸とも出なかった」と思っている人は彼の著作は目から鱗が落ちるものでしょう。とはいうものの、本書では彼の思想よりも、生き様を詳しく書いています。それでも歴史系と言うよりやっぱり思想系の本かも(^^)。
私の勝手な感想はここ。
[未読]康煕帝の手紙 岡田英弘 中公新書
清朝の特徴は異民族、すなわち漢、満、蒙、回、蔵の大きな五族からなる複合民族国家であり、それを全面に押し出していたことでした。そのため康熙帝はモンゴルの反乱に対して自ら積極的に征伐を行いますが、本書ではそのとき留守の北京を守る皇太子に対して送った手紙の内容を中心に紹介し、当時の状況を描き出しているようです。
雍正帝 中国の独裁君主 宮崎市定 中公文庫
もともと1950年に書かれたそうですが、こんな昔にこれだけの内容をお書きになっている宮崎市定先生に尊敬の念を抱かざるを得ません。
雑想記記述予定。
林則徐 清末の官僚とアヘン戦争 堀川哲男 中公文庫
林則徐は当時は強硬論者とされたわけですが、本書を読むと彼の人となりは決して頑迷な過激な人物ではなく、ある意味、清廉だけれども清朝に典型的な官僚だったことが分かります。
考えてみれば毒である阿片を追放するというのは当たり前のことであり、林則徐は国を思う官僚として当たり前の主張をしたに過ぎないと言うことでしょう。それがああいう悲劇になったのですから、すなわちその毒を許容するような中国国内や外国の雰囲気こそが狂っていたということでしょう。
雑想記記述予定。
[未読]西太后 濱久雄 教育社 歴史新書
「孫文と袁世凱 中国統合の夢」 横山宏章 岩波書店
「中国革命に生きる コミンテルン軍事顧問の運命」 姫田光義 中公新書
「長征」の過程で毛澤東はその党内での権威を確立しますが、そのためオットーは「悪玉」の役割をさせられてしまうことになりました。「長征」に出る羽目になった真の責任者とは?そして毛澤東が権威を握ったとされる遵義会議の真相とは?
中国共産党によって作られた「毛澤東神話」の真相に迫るスリリングな好著です。何故こういう良い本が直ぐ版切れになる!中公新書!