■2.2章 研究者本 参■ |
魏晋南北朝通史 内編 岡崎文夫 東洋文庫
隋唐帝国五代史 岡崎文夫 川合安/補訂 他 東洋文庫
内容的にも古い時代の本とは思えません。
モンゴル帝国の興亡(上・下) 杉山正明 講談社現代新書
従来の東洋史学における見解ではなく「公正な」見方でモンゴル史を概観しようとした本です。従来のモンゴル史への扱いにどのような問題があったのか、世の中に流布しているモンゴル史に対する偏見がどれほど間違っているのか、などなど著者の鋭い指摘が散りばめられ、従来の研究者などに喧嘩を売っているような感じです(^^)。研究書の醍醐味というのがそれまでの歴史観を覆すことにあるのなら、まさしくまさしく本書ではその醍醐味を味わうことができるでしょう。モンゴル史への入門書としていいのかもしれませんね。
Micky様と関根様から教えていただきました。
私の勝手な感想はここ。
清朝史通論 内藤湖南 東洋文庫
ああ!戦前の日本にも、こんなにも清朝に対して、政治、学術、芸術などの面々から詳細に知っていた(理解していた?)人がいたとは!流石、恐るべし京都学派の「時代区分」を作った人!
政治の所も勿論面白いですが、それよりもあまり他の通史本では書かれない学術関係のこと、すなわち清朝においてはどんなに様々な学者達が、様々な学問を詳細に研究したかということが書かれてあり、興味深いです。また、講演時が清朝が滅びる直前であったり、革命後の混乱期であることが緊迫感を感じさせ、素晴らしいです。清朝を知ろうとする日本人なら是非読んでおくべき本でありましょう!
中華民国 賢人支配の善政主義 横山宏章 中公文庫
中国近代にも,民主主義思想を含めてこんな豊かな思想の開花があったとは!
雑想記記述予定。
事件・時代描写
『紫禁城史話 中国皇帝政治の檜舞台』 寺田隆信 中公新書
そして現在の建物の多くは最後の中華王朝・清朝時代のものです。タイトルの通り、本書では紫禁城で起こった政治史を中心に述べてあります。単なる「清朝政治史概論」という気がしないでもありません(^^;;)。
太平天国 増井經夫 岩波新書
「太平天国に対する日本人の知識」「李秀成と劉永福」の章などが独自な感じで光っています。なお,文革期に出された太平天国の研究書(日本人著)の緒言に,太平天国について述べた本として本書が真っ先に挙げられていたので,その筋では結構有名な著者なのかも....しれません。
雑想記記述予定。
中国軍閥の興亡 来新夏/著 岩崎富久男/訳 桃源社
私の勝手な感想はここ。
『馬賊 日中戦争史の側面』 渡辺龍策 中公新書
当時の時代の雰囲気を知る上で良いですが、どうも日本人馬賊の実体、彼らがやりたかったこと、やってきたこと、やらされたこと、というものが掴みにくい感じです。単純な見方をすれば中国の混乱につけ込んで「雄大な大陸で思いっきり暴れ回りたい!」という、当時の日本人の大陸への気持ちを体現したもっとも醜悪な部分とも言える気がするのですが...
『中国革命を駆け抜けたアウトローたち 土匪と流氓の世界』 福本勝清 中公新書
本書では辛亥革命後の軍閥割拠の時代、どんなにか中国国内の治安が乱れ、アウトローと呼べる人々が蔓延っていたか、蔓延らざるを得なかったのかを描いています。恐らく本書で描かれる内容は、当時特有の現象ではなく、中国のいわば乱世時代に何回も繰り返された悲劇に違いありません。中国近現代の通史を読んだ後は必ず読んでおくべき本だと思いますが、近現代に興味のあまりない人もやはり読んでおくべき本でしょう。
うっかりすると「人間が生きるとは何か」ということまで考えてしまう内容であり、ローカルな平和を享受している現代人が知るべき歴史だとも言えます。
『フランス勤工倹学の回想』-中国共産党の一源流- 何長工/著 河田悌一・森時彦/訳 岩波新書
留学とはいえ、フランスの労働者とともに働き、組合運動に参加した人々であり、最低あるいはそれ以下の生活の為に病気などで亡くなったりした人も多かったようです。その勤工倹学生達の、生々しい、しかし前向きな体験記です。副題の通り現在の中国共産党の一源流であることは間違いありません。
訳者による詳細な注により、ただの体験記ではなく「フランス勤工倹学史」と言えるような充実した内容になっています。
『中国の赤い星』(上下) エドガー・スノー著 松岡洋子訳 ちくま学芸文庫
極めて有名な本です。当時は中国共産党の世界に全く知られておらず、「共産党の極悪さ」などの流言飛語が飛び交っていました。その中国共産党の実体を調べようと、中共支配地域に命がけで乗り込み、見たままを描くと同時に、毛沢東・周恩来等の超重要人物から詳細なインタビューを元に、共産党発展の経緯を描いたものです。今でも中国共産党史の原著と言える本です。
著者は西欧人として客観的に見ようとしながらも、その中国共産党の新鮮な政策に驚き、非常に好意的に描いています。中国共産党が結局の所、国民党に圧倒的に勝った原因が、非常によく感じられる本で、その生々しさは今でも失われません。
その後の共産党の歴史を考える上でもいろいろ考えさせられる素晴らしい本です。
「長征 毛沢東の歩いた道」 野町和嘉 講談社文庫
『中国土地改革体験記』 秋山義照 中公新書468
農民が大多数である中国にとって、そして労働者と農民の党を標榜する中国共産党にとって土地の再配分化は極めて重要な事柄でしたが、生産効率の問題や階級闘争が絡んで、極めて難しい問題であり、その結果、思想啓蒙活動である整風運動を伴うことになります。そして、この後は大躍進、文革へと続いたのでした。
1949年の建国と文革の間に、中国には何が起こったのか、それを一体験記として生々しく伝えています。ちなみに本著は文革直後の「中国で何が起こっているのか分からない」という、ある種戸惑いの状況で書かれたためか、淡々とした記述が真に迫ります。
紅衛兵の時代 張承志/著、小島晋治・田所竹彦/訳 中公文庫
文革は一人一人の若者にとってみればアツい青春の一頁であったことは間違いありません。後に作家,研究者となった著者が,当時の思い出を,冷静にながらもアツく語る回想記です。
雑想記記述予定。