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2002 夏 北海道ツーリング
2002/8/16〜25


北海道4日目(8/21)

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やっぱり窓の外は雨。
ときおり激しい風が吹き付け、ほんとにまるで台風のようだ。

少し気は滅入るが、今日はこの温泉は休館日ということなので、10時までには強制的にチェックアウトしなければならない。

Kるさんたちは、朝早くからテキパキと準備をして、さっさと出発する支度を整えてしまった。今日でとりあえずお別れ。
「じゃあ、お先に」
「気を付けて(^^)/~」
と、見送る。
再開できるかどうかは分からないけど、まだどちらも北海道にいるし、別れもアッサリしたものです。

さぁて、相変わらずダラダラモードで、これからどう動こうかと考える。
今日も1日中、天気は回復しそうにないし、とりあえず雨風をしのげる宿泊地を確保したい。しかし、できれば安くおさえたい・・。そんでもって、クルマ組が移動している西の方を目指したい。
地図や雑誌を眺めながら、ある宿を発見した。うむ、ここが良さそうだ。

そうと決まれば出発しなければ。
そして、雨の降る中を再び走り出すのであった。
風も強く、今日もタフな1日になりそうだ。


まずは中標津の「すしロード」に寿司を食いに行くことにしたので、そっちへ向かって走り出す。時折、激しく降る大粒の雨に閉口しながらも我慢の走行だ。

そのうち、あれっ?という感じで突然雨が上がり、うっすらと青空の晴れ間が出てきた。こりゃどういうこっちゃ(笑)。
それにしても、こんどは強烈な横風だ。時折吹き付ける強烈な突風にふらつきながらも、踏ん張って走る。

すしロードに到着する頃には、雨も上がっており、体がだいぶ乾きかけていた。ほぼ予定してた時間通りに着いた。
・・が、なんとまだ開店してなかった。11時過ぎに到着、開店は11時半のようだった。どーりで、いつもならいっぱいの駐車場もガラガラだと思った。
カッパを脱ぎながらしばらく待つ。ポツポツとお客さんも来始めた。

そのうちお店がオープンしたので早速食う。
この店に来るのは3度目。初めて来たときには、ライダー限定のサービスに感激したものだが、ライダーが多いと思われる8月には、おそらく1皿サービスくらいの地味なサービスしかやってないような気がする。それでも十分ありがたいけど・・。
朝飯を食ってなかったので、ここでしっかり食っておく。満足。

◆ ◆ ◆ ◆

食べ終わって出発するときも、何とか雨は降っておらず、一部分には青空も見えていた。しかし、これから向かう方向は雲の色も黒く、とにかく完全防水装備だけはきっちりしてから西へ向かって出発。

とにかく、キョーレツに吹き付ける風にはまいった。
徳島も普段から風の強い日が多く、強風の中を走ることには慣れているつもりだ。また、徳島から淡路島に渡る大鳴門橋は、凶暴な横風が吹くことも多く、何度も体験してるんだけど、それでもこの日の風は、かなり頑張らないと本当に危なかった。

ゴウッっと突風が吹くと、道路の中央線近くから路肩の白線の外まで一瞬で飛ばされる。バイクがガクンと倒される感じだ。斜めに傾いているままの状態での直進(蛇行だけど)は、何となく自分でもおかしい(笑)。
少しでも風の抵抗を避けるために、状態をタンクに近づけて低い姿勢を保ち、アゴを引いて上目遣いに進行方向を見る。あまりペッタリと状態を伏せても、今度は肩や腕が自由にならないので逆に危ない。
セローそのものが軽いし、オフ車はそもそも重心が高くなり気味なので、木の葉のようにフラフラと不安定な走行が続く。車に追い越される時がちょっと怖かったなぁ。

阿寒湖の横は見向きもせずに通過。
その頃には雨も降り出しており、道路も山道で、相変わらず風も強く、我慢のライディングが続いた。しかも寒い。

■ ■ ■ ■

あるパーキングで休憩。パーキングと言っても、トイレがあるだけで、物産館みたいな建物は閉まってた気がする。
バイクが1台止まっており、1人の男性ライダーが休憩してた。
ガスストーブとコッヘルを取り出し、お茶を沸かすようだ。
「水がないし、トイレの水道も飲用にはちょっと不安だから、ポカリスエットでコーヒーを作るんですよ」
と、言ってた。ポカリスエットで入れるコーヒーって、どんな味なんだろう?という興味もあったけど、
「水なら分けましょうか?」
と申し出てみた。私のウエストバッグには、徳島から持参したヴォルビックの500mlペットボトルをずっと付けてたのだ。と、言っても売り物の水はとっくに飲み干して、新たにラーメン屋の冷水機から汲んだ水なんだけど・・(笑)。それでもれっきとした飲料水だ。残っていた水はボトルに半分以下だったけど、1杯分くらいは何とかなるだろう。
そのライダーは、
「おお、ありがたいです」
といって、遠慮がちにコッヘルに水を移す。

自販機はあったのだけど、あいにく”つめた〜い”コーヒーしかない。
飲むのは不安だというトイレの水道水も、「お燗」をするには使える、ということで、そのライダーが「お礼に」と、こっちが買った缶コーヒーをお湯に浸けて暖めてくれた。寒さでかじかんだ手に熱々のホット缶コーヒーが有り難かった。

そんな感じで、トイレの屋根の下で休憩をしていると、そのうち自A隊のトラックとワゴン車がトイレ休憩で駐車場に入ってきた。
制服に身を包んだ自A官たちがぞろぞろと降りてくる。
あまり慣れていないので、ちょっとだけ緊張してしまったのだけど、1人の自A官が話しかけてくると、セローはたちまち他の自A官たちに取り囲まれてしまった。独特のグリーンの制服に、ごつい編み上げブーツを履き、帽子をかぶった自A隊員に囲まれると、ちょっとびびる(笑)。

徳島ナンバーを見て、
「徳島っつーたら、明徳高校かぁ?」
と、バットを振るマネをしながら聞いてきた。
「は?」と、最初は何の話か分からなかったけど、折しも高校野球真っ最中のシーズン。「あ、明徳は高知県ですよ」と答えると、そうか、と笑ってた。

これから向かおうとする足寄町方面から来たようなので、天気を聞いてみると、
「あと5分も走れば雨も止むよ」「路面も乾いてる」
という答え。わお、これは明るい材料だ。ここまで、冷たい雨に濡れながら走ってきたので、急に元気がわいてくる。

赤に白文字で「火」と書いてあるプレートを付けた、幌付きのトラックが気になり、
「あのトラックには何を積んでるんですか?」
という、後から思えば無邪気で大胆な質問に対しては、自A隊員、トラックに目をやりながら、

ん〜・・・?、ヒ ミ ツ

と、答えてくれなかった。ひ、ひょっとしたらまずいことを聞いたのかな・・?(^^;;
深く突っ込むと消されるかもしれないので、はははは・・と適当に笑ってごまかしておいた。

用を済ますと、ぞろぞろとトラックとワゴン車に分乗して、颯爽と去っていった。
去り際に、トラックとワゴンから隊員たちがみんなで手を振ってくれた(!)のは新鮮な驚きだった。やたらおかしかったけど、とりあえずこちらも笑顔で直立不動の姿勢でビシッと敬礼をした後、笑顔で手を大きく降り返して応えた。
北海道の自A隊は、どうやらおちゃめで気さくな人たちのようだった。
(敬礼でよかったのかな?K察官じゃあるまいし。)

ちょっと面白い出来事に、勇気と元気も128倍。さあ頑張って走るぞ、と気分も盛り上がってきた。
コーヒーを沸かしてくれたライダーもちょっとお先に出発し、あっという間に見えなくなった。続いて出発する。

自A隊員の言ってた通り、足寄町方面へ向かうと、ほどなく雨は上がり、そのうち路面もドライになってきた。こりゃゴキゲンだ。風は相変わらず吹いているけど、先ほどまでの狂気のような突風も少なくなり、淡々と距離を重ねていく。
目的地である糠平湖まではもうすぐだ。

◆ ◆ ◆ ◆

あと10kmほど、というところから、ちょっと登りになった。
ダムの近くでは、トンネルがいくつかあり、またしても最後の試練である突風にヒヤッとしたが、雨にも降られずに明るいうちに糠平温泉に到着。

さて、宿を探そうかと立ち止まって地図を確かめようとしたら、そこが目的地の「湯元館」であった。ありゃ、アッサリ見つかった(笑)。ラッキー。

先払いで1500円(+税)。畳の大広間(男女別)に寝袋持ち込みだけど、十分に安い。
館主はちょっとこわもての顔つきだったけど、笑うと人なつっこい表情になる人だ。ライダーの間では、おそらく有名と思われる宿で、いわゆるライダーハウスではないみたいだけど、この設備ならそこらのライダーハウスよりも良い感じ。
何しろ、大浴場や露天風呂が24H入り放題なのだ。打たせ湯や足湯もあるし、ランドリーも完備している。

ライダーが何名か相部屋のようだった。でもとても広い部屋なので、窮屈な印象はない。登山客らしいおじさんおばさんのグループも泊まっていた。ちなみに部屋はちゃんと男女別になっている。

ここでは食事はできないので、一緒の部屋に泊まることになったライダーの人たちと食べに出ることにした。
しかし、食事ができる店探しが、思いのほか苦労した。近くの大きなホテルのレストランは、宿泊客以外はダメだという(ケチ)。公共のメシ屋は、近くのラーメン店と居酒屋しかなさそうだった。二者択一か・・。
とりあえず、みんな北海道へ来て何度かラーメンを食ってる人ばかりだったので、メニューが多そうな居酒屋に行こうということになった。行ってみたら、シャッターが閉まってる。
「まだ開店前の準備中なのかな?」
しかし、待てど暮らせど、オープンする気配もなく、また準備中の雰囲気もない。開店するはずの六時も過ぎたよ?あれ?
業を煮やして、宿泊仲間の1人が店の横にある住居用玄関を尋ねて聞いてみると、なんとたまたま今日だけは休業日だと言う。ガチョーン。
結局、選択の余地無しで、宿から徒歩20秒ほどのラーメン屋行きとなったのだった。

縁というのは面白いもので、このラーメン屋がまた、「それはそれで面白い」という体験になったのだった。
店に入ってみたら、まだ客はいなかったけど、30代くらいの若い店主が1人いた。

カウンターが中心のラーメン店で、まだ新しいお店。
特に麺にこだわりがあるそうで、ウンチクを語る語る。近所の店であれば、「静かに食わせてくれよー」と思うかも知れないけど、それは旅の途中、なかなか面白い話も聞けて面白かったかな。店主はモーグルの選手だそうです。とにかくアツい人でした。
結局写真も撮らせてもらったり(笑)。

食後はみんなで雑談。ライダーって個性きついなぁ(笑)。
私はおそらく日本でも一万本の指に入るマイルドなライダーでしょう(自負)。

風呂は時間制限がないのも嬉しい。頃合いを見てお楽しみの露天風呂だ。
大浴場が貸し切りでした。
ちょっとぬるめの露天風呂も貸し切り。途中でおっちゃんが入ってきたけど。
いやぁ〜、よかったよ。

就寝前も、まだ寝られなかったので、ロビーで館主やお客さんとちょっと話す。
最初見たときは、ちょっと怖い館主かなぁと思ったのだけど、笑った顔などはほんとにいい表情のおじさんだった。
この温泉の歴史の話、広告や宣伝の話、近所に出現してワナにかかった熊の話、ぼったくりライダーハウスに対抗して大広間で1500円という設定を始めた話など・・。こういう出会い、いろんな話がバイク旅の醍醐味。

夜も更けていく。


本日の走行距離:268.1km
本日の宿泊:1500円+税(大部屋、温泉24時間入り放題、露天風呂あり)

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本日の写真館

この日は雨も降り、とても寒い お茶を沸かしてくれた通りすがりのナイスガイ ライダー。

全員トイレ休憩 自A隊に囲まれたりして。(撮影許可済)

さようなら〜 颯爽と去る彼ら。

たしか混浴でよ 湯元館の露天風呂。

店の名はどんぐりだっけな? 熱く語るラーメン屋主人。



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