プリンセス救出陽動作戦



ダブルナイトの章


☆☆☆ 21.ゼーラムの回想 ☆☆☆
 全ては・・・銀河皇帝の護衛から始まった。
銀河帝国情報局に勤めていた俺は、普段の仕事ぶりを認められ、皇帝の護衛に 抜擢された。
その頃ちょうど、ある暗殺組織による皇帝暗殺が画策されていた。
その情報を掴んだ情報局では、密かに調査及び護衛を行うため、俺にその任務 を与えてくれた。
本来は正規の護衛がいて、情報局の出番はないのだが。
心配性の上司の指示で、試験を受けて護衛官になった。
その俺が、暗殺者の標的にされた。
暗殺の、ではない。
暗殺の協力者として目をつけられた。
俺は・・・上司と相談し、暗殺者を騙し、協力者の振りをしながら、逮捕する 機会を狙った。
そして、俺は任務を全うし、暗殺は未然に防がれた。
それが、悲劇の始まりだった。
俺の裏切りを知った暗殺者達は俺の命を狙い・・・そのために、あの事故が起 きた。
運転していた妻は即死。
娘は頭を打ち、未だに目覚めない。
そのショックでホルモンのバランスが崩れたらしく、成長が止まってしまった 。
もしかしたら・・・俺が生きているうちに意識を戻さないかもしれない。
このまま、300年、400年と生き続けるかもしれない。
そのためにも金がいる。
だから俺は情報局を退職し、大金を稼げる道を選んだ。
暗殺を防ぐ立場のこの俺が、<貴侯>とかいう奴にスカウトされ、今は雇われ 幹部。
預けられた9人の部下に仕事を振り分ける。
そして・・・数多くの人間を殺してきた。
しかし、仕事を選ばせてもらい、善人や子供の暗殺だけはやらずに生きてきた 。
今回の仕事にしても、ニセ王女は殺さなくとも構わないと約束し、ニセ物と思 われる彼女を追ったのだが・・・。
部下の何人かは、俺の命令を公然と無視する。
そのため俺は、俺自身の手で3人の部下を殺す羽目になった。
<貴侯>直属だったエンジェル・ウィングとゴッド・アイは今でも逆らう。
だから・・・子供を殺せないソウル・イーターを最初に派遣した。
子供を殺せないゴーレムと、俺に服従を誓うヒドラを派遣した。
ところが・・・何故、ニセ王女と判明したセリルを殺したがる?。
何故、こんな仕事を俺にやらせるのだ?。
誰もいない喫茶室で、俺は静かに紅茶を飲む。
逆恨みしたエンジェル・ウィングに正体をバラされはしたが、逆にダブルナイ ト達は信用しないだろう。
俺を陥れるために、エンジェル・ウィングが嘘をついたと考えるはずだ。
しかしだからといって、俺に何が出来る?。
エンジェル・ウィングに逆らって、<貴侯>の意志に逆らって職を失えば、早 晩、娘の生命維持装置が外され、殺されてしまう。
だからといって、自分の良心までも失うわけには・・・。
そこに、通信が入る。
人目につきにくい耳の陰、そこに張り付けた小さな、髪と同色の金属が受信器 だ。
『デス・ナイト様。マリオネットが破壊されました。敵は新たに仲間を得たら しく、これはゴッド・アイ様の予定とは違います。いかが致しましょう?。』
何者かは不明か。
『こちらの総勢は3名か。これいじょう、時間を無駄には出来ない。こうなっ たら・・・ダブルナイトと、その仲間を片づける。いいな?。』
『任せて下さい。』
『・・・・・・。』
エンジェル・ウィングからの同意がない。
奴め、自分一人で何かをするつもりだな。

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