世界的に名前が知られるきっかけになった1982年と、上り調子だった1985年、2つのモントルー・ジャズ・フェスティバルの模様を収めたLiveアルバム。ブーイングと声援の入り混じった'82年と、明らかに期待に満ちた'85年と、観客の反応の変遷が感慨深い。
'82年のディスク1 は8曲中6曲が未発表。既発表の2曲もコンピレーションとBOXセットに散らばっていたものなので当日の演奏がこのディスクで一挙に聴けるということで価値はある。観客の反応はよそに演奏そのものは、当時モントルーにいたジャクソン・ブラウンやデビッド・ボウイの関心を集めるに値するもの。インスト曲も3曲と快調な演奏。
一方の'85年のディスク2 の演奏も同様にすばらしい。ディスク1と変化が少ないのは、既に'82年にSRVとダブルトラブルが一定のレベルに達していたことの証明。
ここで悩ましく思うのは、不出来のために大幅なリテイクなどかなり手を入れられたという『Live Alive』('86)に収録されていた同じ演奏が5曲含まれていることだ。一部比較してみたものの演奏の違いなどは発見できなかったが、ミックスは一聴してこのアルバムの方が「生」な感覚。『...Alive』でのリレーションにかける冗漫な印象とは打って変わった仕上がりだ。ドラムの音など'80年代風の圧縮されたものからより自然に聞けるようになっているのがわかる。
と、多少ひっかかる事もあるものの、付帯情報を知らずに普通に聴けば彼のキャリアの全盛期を捉えたLiveアルバムとして、価値ある作品。十分SRVとダブルトラブルを堪能することが可能。
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