Jungfraujoch

2月8日 水曜日 晴れ

9時18分発の電車で、Kl.Scheideggへ向かう。Kl.ScheideggからJungfraujochまではスキーパスでは登れないので、電車に乗る前に切符を買っておいた方がいいだろう。スキーパスがあれば、45sfrぐらいで往復切符が買える。もしスキーパスがないと、さらに倍ぐらいするので注意が必要。今回は、Eigergletscherから滑べって降りるつもりなので、板を持ってKl.Scheideggで乗り換える。周りを見回すと日本人ばかりだ。うーむ。不思議。電車が登り出すと、氷河を右手に見ることができた。雄大な景色って奴ですな。

Eigergletscherを過ぎるとトンネルに入る。岩山をくりぬいた長いトンネルだ。Pizgloriaといいこの登山電車といい、つくづく良く作ったものだと感動してしまう。しばらくするとアナウンスが流れ始めた。ちゃんと日本語のアナウンスも流れて、次はEigerwandで標高2865m、5分間停車します。とか言っていた。電車が止まるとみんな写真を取りに走り出していた。おいおい。こんな高地で走ると危ないぞー。大騒ぎしながら写真を撮りまくり、Eigerの北壁に歓声をあげ、電車に戻る。気のせいか体が重い。そのうち、次なるアナウンスが流れてきた。「次はEismeer、標高3160m、停車時間は5分です。」また、同じようなことが繰り返される。早めに電車に戻って、帰ってくるみんなの写真撮影。うーむ。みんな元気だな。次はいよいよJungfraujochだ。

駅に到着し板置き場に板を置きずんずんと中へ入っていく、するとポストがいっぱいあるところに出て、懐かしい日本の赤いポストを発見する。日本人が多いんだろうなあ。とりあえず、氷の宮殿、大雪原方面に階段を登っていく。登って気付いたのだがエレベータがあるので、そっちを利用した方がいいだろう。標高3454mの場所で階段は辛かった。ヘロヘロになりながら氷の宮殿へ。氷の宮殿は氷河をくりぬいて作った通路に、氷の彫刻がいっぱい置いてあるところだった。氷河をくりぬいただけあって、通路全体が氷になっている。凄い。スキーブーツだと思いっきり滑べるので注意が必要。ここはやはり普通の靴の方がいいようだ。

中で写真を撮りながら進み、大雪原へ。外に出ると風が凄くて耳が痛い。しかし、景色は素晴らしく目の前にアレッチ氷河が広がっている。寒さに震えながらも写真を撮りまくり、風に飛ばされないようにしながら、歩き回った。うーん。来て良かった。中に戻り今度はエレベータで下に降り、スフィンクスへ向かう。長い岩をくりぬいた通路を、息を切らせながら歩きスフィンクスへ向かうエレベータに到着。普段はここに人がいっぱい並んでいるそうなのだが、私達が行った時は誰も並んでいなかった。おかげでエレベータへの入口がわからず苦労してしまった。えみちゃんが入口を見つけて一見落着。みんなで上へ登る。

エレベータの中はステッカーがいっぱい貼ってあり、観光客の多さがわかる。日本のステッカーが多いのは気のせいかなあ。このエレベータも岩をくりぬいて作ってあり、結構な長さがある。上についてやることは一つ。記念撮影だ。ここの展望台は結構怖いところに作られていて、床の下が良く見えて恐怖を誘ってくれる。帰りのエレベータを待つ時、外人さんと仲良くなり記念撮影。一部の外人さんは恥ずかしがったのか逃げてしまった。香織ちゃん曰く「もぉ〜シャイなんだから」。おいおい、シャイは通じると思うぞ〜。一緒に入った外人さんのおかげで、私と柳田さんがエレベータに乗れずあぶれる。みんな私達を見捨てて通路を歩いている姿が目に浮かんで来たが、みんなちゃんと待っていてくれた。いい人達だのぉ。

通路を歩いている間に帰りの電車の発車時刻が迫ってることに気付いた。停車している電車を見てきたが、H田中さん達は乗っていないようだ。どうやら、もう一本待つことにしたらしい。そのままお土産モードに入り買物。ここの店員は、どうも日本人にうんざりしているらしく、「これはブローチなの?」と英語で質問しようとしても商品の番号を言えの一点張りで話にならない。しょうがないので「質問があるんだ」から始めて、やっと答えて貰えた。お土産を買って、香織ちゃんがTop of Europeのスタンプをスキーグローブに押しているのを発見。私も真似して押す。意外と綺麗についている。

ここでH田中さん達と合流。昼食を取ることにする。ここではスパゲティボロネーゼを食べた。意外とまともな味だった。ここの品物にも全部番号がふられていて、日本人対策が進んでいるようだ。レジのお姉さんは、「ニジュウハチ フラン デ〜ス」とか言ってた。うーむ。なぜ日本人だとわかったのだろう。食後、柳田さんのケーキ事件が発生した。香織ちゃんが甘いもの評論家と自称するほどケーキ好きだと知った柳田さんが、ケーキを半分あげようとかいって、3/4程あげようとしたのだ。さすがに大き過ぎると思ったのか、大き過ぎますよと指摘。香織ちゃんも遠慮していたようだ。もらっときゃあいいのに。このような柳田さんのユニークな言動が、みんなの話の種になっているということを、私は後日知ることになる。

えみちゃんと麻千子ちゃんの葉書に寄書きして投函。Jungfraujochを降りることになる。帰りはEigergletscherまでノンストップだ。ちょっとうとうとしてしまった。Eigergletscherに着いていきなしお茶。ちょっと寒かったがテラスでお茶することにする。目の前に氷河が迫り、遠くにはSchilthornが見えて絶好のロケーションだった。私はちょっと寒かったのでコーヒーにしたが、強者どもはビールを飲んでいた。しかも、一人中瓶一本。明美ちゃんも中瓶一本飲んでる。凄い。

えみちゃんがヨッホで買ってきたケーキを食べてると、この地方に多いカラスのような黒い鳥がいっぱい集まってきた。九官鳥の仲間らしいが、正式な名前はわからない。餌を投げると器用にくちばしで受けて飛んでいくのだ。みんな餌を与えようとするのだが、あまり寄ってこない。なぜか鈴木(夫)には、いっぱい集まってくる。ここで彼は「餌づけのしんちゃん」というありがたい称号を貰うことになる。私はというと、ここでやっと名前を覚えてもらえたようだ。いままで赤い人で通っていたらしいが、当たらずとも遠からずである。私のウェアはサングラスで見ると赤く見えるのだ。ここでなんとなく香織ちゃんのサングラスと私のを交換する。うん。やっぱ赤く見えるな。

レストハウスを出る時、彼女の写真を取ろうとしているイタリア人ぽいカップルを発見。早速「Can I help you ?」と言って近付いた。最初はキョトンとしていたが、私の意図に気付いて彼女の方に移動。会心の笑みを浮かべて肩を組んでいる。本当に嬉しそうだ。恐ろしく古いカメラで完全マニュアルのカメラだった。シャッターを切って。お約束の「Have a nice day」で別れた。カップルはにこやかに「You too」と言っていた。うーむ。経験になるなあ。

さて、ようやくスキーだ。出だしが狭くて怖かったが、景色が素晴らしくアイスバーンになっていなければ、最高のコースであった。思いっきり滑べり、ジャンプできそうなところを見つけては、いつものように突っ込んでジャンプしていた。大原ガイドがいると怒られそうだったのでいままで跳ねるのは控えていたのだ。Fallbodenに乗ってKl.scheidegg方面へ向かう。途中、「ドーン!」というもの凄い音がしたが、あれが氷河の崩れる音だったのだろうか? あんな音だしたら、雪崩がおきそうなんだけどなあ。リフトの下の沢をスノーボードの連中が滑べっていく。その後からなんとBigFootの集団が滑べってくる。ヨーロッパでも普及しているんだなあ。

Fallbodenを降りてちょっと登り、Arvenの乗り場を目指して滑べる。途中ちょっと失敗したが、なんとか乗り場へ到着、アイガーが正面に見えるところ(Mannlichen)に向かうためにHoneggに乗ろうとすると、加藤さんが帰るということになり、ここで別れる。フリーになって初めてのTバーで誰か落ちたらどうしようと思いながら、上まで登る。幸いみんな無事に到着し、地図で現在位置を確認。TバーTschuggenの乗り場を目指して滑べる。この辺りは、木がいっぱい生えていて林間コースになっている。TバーTschuggenは、Honeggより短いのだが妙な轍ができていて非常に怖いTバーであった。周りは林だし落ちたらたいへんなことになりそうだ。びくびくしながら登りきり、みんなが登ってくる姿の写真を撮った。今回も落ちたものは無し。みんな慣れてしまったのだろう。ここまで来たらMannlichenはすぐそこだ。Lagetの乗り場を目指し滑べり降りる。久しぶりのチェアリフトで、座布団付きというありがたいリフトだった。ちょっと遅いのが難点だけど。

ようやくMannlichenに到着。もう四時になってる。お茶を飲むためにはひとやま越えていかなくてはならないことが、登ってからわかった。直滑降でいけば登れるかな。うーん、いっちゃえ〜。思いっきり死ぬ気でチョッカッたつもりなんだけど、半分ぐらい登ったところで力尽きてしまった。はっと後ろを振り向くと、みんななにやら話あっている。嫌〜な予感がする。えみちゃんだけ降りて来て、その他のみんなは下に降り始めてしまった。が〜ん。見捨てられてしまったようだ。えみちゃんに事情を聞くとみんな登るのが嫌なので一度下に降りて、リフトで上がってくるそうだ。私とえみちゃんは二人で頑張って登り、ゆっくりお茶することにした。

ひといきついて、えみちゃんのお見合い用の写真撮影も終った頃に、柳田さんがひょいっと現れる。意外と早かったなあ。みんなぞろぞろと到着し、お茶し始める。柳田さんは何をやっていたのか、一番最初に到着したはずなのに、お茶を持ってくるのは一番最後だった。どうやらケーキ選びに手間取っていたらしい。私達はゴンドラが五時で終了なので、さくさくっとかたずけて出発することにした。とりあえず中間駅まで滑べって、そこからゴンドラに乗って降りることにした。えみちゃんとH田中さんが先に出発。ちょっと遅れて柳田さんを除くみんなが出発した。柳田さんは一番上からゴンドラで下ることにしたらしく、余裕ぶちかましてミルクが大量に投入された紅茶を飲んでいる。大丈夫かなあ。

時間が時間だけにさすがに周りは暗くなってきている。みんなでところどころで集合しながら下っていく。中間駅に着く頃、前を滑べるえみちゃんを発見。中間駅でみんな無事に合流した。この時、四時四十五分。結構余裕でついてしまったようだ。ゴンドラに乗って下山。降りると最終一つ前のバスが止まっていた。みんな乗りたかったが柳田さんがまだ来ていないので乗ることができなかった。くそ〜。上で余裕ぶちかまして紅茶なんか飲んでる場合じゃないだろう。おかげで最終のバスまで20分ほど待たなければならなかった。

その頃、柳田さんは人影の見えないゴンドラに乗っていた。他に乗っている人はいない。このままゴンドラが止められてしまう恐怖を感じたのか、下りのゴンドラでずーと立っていたらしい。降りてきた柳田さんが非常に疲れていたので判明した事実だ。そんな、人乗せたままゴンドラ止めるわけないのなあ。

駅までバスで帰り、そこから徒歩でホテルへ。途中スーパーで明日のオフピステツアーのためにシャンパンを買うことにした。スーパーの中で偶然加藤さんに出会った。加藤さんも一緒に探してくれたのだが、どれがシャンパンだかよく判らない。ドイツ語で書いてあるのだ。明日の朝、出直すことにして何も買わず帰ることにした。ホテルに帰って調べたらシャンパンはドイツ語でSektというらしい。

今日の夕食は、チーズフォンデュ、オイルフォンデュ、フォンデュシノワーズの三択だった。私達はコンソメスープで肉をシャブシャブのようにして食べるシノワーズを食べることにした。同じテーブルの十時夫妻はチーズフォンデュ。周りにチーズとワインの強烈な匂いが漂い始め、十時夫妻のところにパンのかけらみたいなのが、山のように届けられた。それを融かしたチーズの中につけて食べるのだが、三口ぐらいなら耐えられそうだが、それ以上はしつこくて食べられそうにもない料理であった。

私達はシノワーズにして正解だったようだ。お肉もお代わりしてお腹いっぱい食べることができた。柳田さんが竹グシを二本使って箸のようにして食べ始め。サービスしてくれているお姉さんに、「じゃぱにーず すたいる」とかいいながら、得意そうに話始めるのにはちょっとまいった。私達のテーブルに来るお姉さんは、英語ができないのに英語で話かけているのが柳田さんらしい。H田中さんがドイツ語が若干話せるので、そのお姉さんとのコミュニケーションはもっぱらドイツ語とポルトガル語だったのだ。どうやら日本語を勉強しているらしく、私達のテーブルに来ては、日本語を教わり嬉しそうに帰っていく。なかなか面白いお姉さんだった。さて明日はオフピステツアーだ。天気予報では崩れると出ている。柳田さんはベルン観光のオプショナルを申し込んでいる。5時からはカーリングだ。楽しみ。楽しみ。


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