食後、結構のんびりとスキーの支度をする。いつもと違って時間があるのだ。スキースクールからガイドを呼んで案内してもらうことになっていてガイドが来るのが9時になるためのんびりできるのかな?そう、今回はガイドのはずの塩谷さんも初めてのゲレンデということで地元のスキースクールにガイドを頼んでいるのだ。初めてのツアーというのはこんなものなんだろうな。やって来たのはヴァリス州のマークを腕につけたジョンという男だった。アイルランドのベルファスト生まれで今はスイスで暮らしているらしい。英語のガイドなのでなんとなくいっていることも解る。ケーブルカー乗り場まで歩いて5分ぐらいなんだけど、凍った坂道で危なそうなのでバスに乗って行くことにする。シャンペリーは小さな街なのででっかいバスは町中を通っていない。小さなマイクロバスみたいなものが回っていてケーブルカー乗り場まで運んでいってくれるのだ。まあ、バスが回ってくるのに時間がかかるのでよっぽどタイミングがよくない限り歩いていった方が速いんだろうけどね。
ケーブルカー乗り場へ行き、昨日買えなかったリフト券を購入する。5日券なんだけど顔写真はいらないみたい。回りを見回すと顔写真付きのを下げている人もいるのである日数が増えると顔写真を貼らなければならないんだろうな。ケーブルカー乗り場は鉄道の駅にもなっていてすぐ横に線路がある。私はトイレを探してしばらくうろうろして用を足していたらしい(笑)ケーブルカーは結構新しいようだった。後で聞いたところによると10年前にかけ変えられたそうな。古いのはヨーロッパで3番目にかけられたケーブルカーだったそうな。年代は…すまん忘れた(笑)ボディにPlanachauxと書かれたケーブルカーに乗り一気に1963mまで昇る。ちなみにシャンペリーは1053mね。上に上がっても天気が悪くて回りがさっぱり見えない。ジョンがスキーを取りに行ったのでゆっくりと準備体操をする。この一帯がPlanachauxというらしい。
一本だけ左に滑りPlanachaux-Croix de Culetのチェアリフトで再びさっきいたところに戻ってくる。どうやら帰る時はこのリフトに乗らなくてはならないようだ。リフトの上でジョンに話し掛けられ「英語が話せるか?」と聞かれたので「ちょっとだけ」と答えておいた。でついでによく見かける文字の「Portes du Soleil」の意味を聞いてみる。なんでもスイスとフランスを跨いだこの辺り一帯のスキーエリア全体の名称だそうで「太陽への扉」という意味があるそうだ。それにしちゃ天気悪いよなとぶつぶついっていたことは秘密だ(笑)ようするにバルトランスのトロワバレーというのと同じだろう。あっちは「3つの谷」だがこちらは小さいところも入れると15も街があるんだからピステの総延長が650kmで世界最大というのはちょっと反則のような気もする。まあそれはおいておいて、今度はLes Crosetsの方に滑って行くが街に付く前に途中で左に曲がってJバーRipailleの乗り場方面へと滑り降りていく。そのままJバーで昇り、チェアリフトChavanetteの乗り場まで滑り降りていく。このリフトはフランス側に渡るためのリフトの一つで、かなりの急斜面の上にかかっている。コースにはあまり雪が付いておらず、コブコブで人が溜っていた。こりゃここは滑りたくないねえ。
上の方の山肌からなにやらパイプのようなものが何本も突き出ていた。なんだろうと思い、またまたジョンと一緒だったため聞いてみた。途中ちょっとわからなかったが、雪崩れコントロールのためのガス抜きのパイプだそうな。まあ、こんな斜面に雪が積もったら簡単に雪崩れそうだような〜この時はこのコースの本当の姿を知らなかっただけだったりするのだが、この時はそう思っていた。頂上につきいよいよフランス側に突入する。相変わらず景色は見えないんだけどさ(笑)景色が見えないのでよくわからなかったのだが、コース横にずーっと立っている看板からAvoriazに向かっていることが解る。広い斜面なのだが雪面が見えないのであまり飛ばすわけにもいかず、適当に滑っていく途中から連絡通路みたいなところに入りAvoriazの街が見えてくる。街の横の6人乗りのリフトTourに乗りながら街を観察する。なにやらでっかいマンションみたいな建物がいっぱい建っている。Champeryよりは栄えているみたいだ。建物はほとんど濃い茶色か木のままの色をしている。これは、遠くから見たら山肌に溶け込んで景観が悪くならないようにするためらしい。やっぱ偉いよね。苗場や湯沢にでっかいマンションを建てた連中も見習って欲しいものだ。
リフトを降りて人工降雪機が雪を降らせる中を降りていく、途中から林間コースに入りる。ようやく木がいっぱいあるところに来たといった感じだ。Avoriazの街自体が森林限界のちょうど境辺りにあるような感じだった。途中、コースの外にふっとんでいく外人さんがいた。コース外は深雪なのでかなり埋まっていた。板は木の根元までふっとんでいって引っ掛かっていた。仲間うちで大笑いしながら板を取りにいっていた。雪が深いから結構たいへんなのよね。そのまま森の中を滑りつづけArdentに到着する。6人乗りの立ち乗りゴンドラd'Ardentsに乗りLes Lindaretsまで上がる、そろそろ昼食にしようとジョンに提案、ジョンは後15分程滑ればレストランがあるからとか言っていたと思うんだが、実際には5分もかからずに到着した(笑)なにやらレストランが固まっているところだったのだが、ジョンはサクサクと一番奥にある小さなレストランへと入っていってしまった。第1印象は…狭いだったな。で、暗い。あまりにも狭くてゆっくりなんてできないしロウソクの明かりではメニューもよく見えない。まあ、見えても読めないんだけどさ(笑)場所はちょっと広めのところに移って、メニューの方はジョンに本日のお勧めを教えてもらって頼むことができた。ボロネーゼなんだけどタリアターレで出てきた。しかも茹で過ぎ(笑)まあ、柳田さんのに比べれば遥かにましだったんだけどさ。柳田さんはバーガーと読めたという怪しげなものに挑戦していた。出てきたものは…どうみてもチーズの盛り合わせだった。でっかいプレートにレタスが敷かれ、その上にいろんな種類のチーズがたくさん乗っているのだ。とても昼食とは思えなかった。もちろんこの地方名産の山羊のチーズも乗っていた。柳田さんはこりゃたまらんとホットワインを頼んでみたが風邪の身ではアルコールもよろしくなく結局この昼食は失敗ということになったのであった。私はビール飲んで食後にコーヒーを飲んでそれなりにお腹がたまった昼食であったな。
外は雪が激しくなっていた。中里さんところの旦那さんが体力的にきつくなってきたそうで早めに帰ろうということになった。まあ、この天気じゃそんなに長く滑っているわけにもいかんだろうな。チェアリフトde la Lechera(そうそうリフトの表記は実際はTS de la Lecheraというふうになっている。TSというのがチェアリフトのことなのでそこだけ日本語かしてるのね)に乗って、Les Brocheaux(1582m)まで上り、すぐにチェアリフトMossetteに乗りスイス国境まで上がる。このリフトがまたすげー長かった。寒いのに終わりが見えないリフトにのっかってきついぞ。で、国境に辿り着いたわけだが、滑りたくない人はリフトで降りれるといわれて中里さんの旦那さんと、柳田さんは下りのリフトに乗ってリフト乗り場で集合ということになった。我々はモーグルのワールドカップが行われたというゲレンデを下っていった。回りは見えないし、結構ボコボコしていて滑りにくい斜面だった。人も多いしね。Les Crosetsまで標高差にして800m以上をあまり休憩もなしに降りていく。もっと天気がよければ楽しいんだろうけどねえ。雪面が見えないし、ボコボコなのでそれなりに疲れる斜面だった。まあ、後日晴れた日にみたらボコボコで晴れていても滑り難かったんだけどさ(笑)
リフト乗り場で別働隊と合流し、チェアリフトCrosetsIIに乗り込む。このリフトも帰る時に必ず乗る必要があるので覚えておいた方がいいと思う。頂上附近から朝滑ったコースへと滑り降りていき、朝一で乗ったチェアリフトPlanachaux-Croix de Culetに乗ってケーブルカーの乗り場へと到着したのであった。ここで、疲れた人は帰ることにして、元気な人々はジョンと一緒に下山コースを滑ってみることにした。先程下りのリフトに乗った二人とガイドの塩谷さんが帰ることになり、残りの人々は朝乗ったJバーまで滑り、それを上がって一番長い下山コースへと入っていった。後でゲレンデマップをみたらもっと短いのもあるじゃないの。なぜこの長いのを選んだんだジョン。降りるまでに1時間ぐらいかかるというのに。まあ、滑り出しは凄くいい斜面で気持ちよく滑ることができた、硬い雪に新雪が積もったような感じかな。おりる人は少ないらしく、ほとんど滑った後がない。途中で金子さんの旦那さんが転んで吹っ飛んでいくというアクシデントはあったが、出だしは好調であった。狭いコースに入ってもそれなりに景色を楽しみつつ滑ることができた。が、途中でかなりのスケーティングをやる部分は参った。ちょっと上ってさえいるんだけど。ジョンはサクサク進んでいっちゃうしさ。ちょっと新雪が積もった状態で板の滑りが悪くなっているし、私の板はチューンナップされていないから更に滑らないんだよう。
ここからはちょっと楽だよとジョンが言ったところまで来るのにかなりの体力を使ってしまった。私は滑りながら担いでいたディバッグの中から水を取り出し、滑りながら水を飲むのであった。水をしまうのも面倒なので、そのまま片手に持ったまま最後まで滑っていった。終点に到着するとちょうどバスが止まっていてケーブルカー乗り場まで乗って行くことができた。ジョンはバスの中でさくさくとブーツを脱いで普通の靴に履き替えていた。ケーブルカーの駅で街を回っている小さなバスに乗り換えホテルへと向かう。ホテルに着くと柳田さんはお風呂に入っていた。私は板をチューンナップに出すべく着替えて再び街に出ていくのであった。チューンナップ自体は隣のスポーツ店でやってもらえるのだが、言葉がいまいち通じないんだよね(笑)英語を話せる人が少ないのだ。板を持って店に入るといきなり下を指差され、指示通りに階段を降りていく。で、そこにいたお兄ちゃんにチューンナップしたい旨を英語で伝えてみる。いいたいことはわかってくれたらしく、板を見ながら「It's easy」とか言っているようだった。で、35フランでやってもらえた。「金はいつ払うの?」と聞いたつもりだったんだが、「いま払うの?」と聞き返され反射的にヤーと答えたらレジまで連れていかれてお金を支払うこととなった。まあ、いつ払ってもいっしょだからいいんだけどね。
部屋に戻ったら柳田さんが寝ていたので、私も風呂に入った。風呂上がりにビールを飲みつつしばらくのんびりする。TVは全部言葉がわからんのでみない(笑)で、ベッドに寝転がり持ってきたパトリシア・コーンウェルの「業火」を読んで時間を潰す。食事の15分前に柳田さんを起こし、食事に向かう。で、問題のテリーヌが出てくる。なんでもアヒルかなんかのテリーヌらしんだが、妙にレバー臭くて塩っぱい。日本人の口には合わない料理だろうな。2枚ついてたんだが全部喰ったのは私だけで他の方々はみんな残していた。日本人の客が少ないから好みがわからないんだろうといった話題に花が咲くのであった(笑)メインディッシュは肉の方ならそれなりに食べられるんだけどなあ。柳田さんが調子悪いもんだから飲み物は昨日の余りの白ワインと金子さんにいただいた赤ワインだけ。前回は毎晩1ボトル飲んでたけど、さすがに一人じゃ無理だな。デザートも去年のトリエステの方がよかったな。
食後は柳田さんはベッドに直行。さすがに10時前では私もあまり眠くないので、さっきの続きの本を読みながら夜を過ごすのであった。今回は本当に夜は暇だったな。