日本から上海へ

三月二日(第一日目)

 今回は日記でもつけようかと思う。
 関西空港に到着。空港に来るためにわざわざ小型のJR時刻表を持ってきてしまった。荷物になるのでこのまま中国には持っていきたくないが、さりとて捨てるのは勿体ない。そこで関空の鉄道駅近くの御手洗いに隠すことにする。まともな所においては掃除のおばさんに持って行かれそうなので、飾ってある植木鉢を入れてある缶の中に放りこむ。まあ覚えていたら回収することにしよう。

 夕方に出発したため上海についたのは夜駅前にあるはずのホテルが見つからない。そこへ行くリムジンらしきものがあるが乗り方がよく分からない。運転手とやり取りしようとしたが、空港前のごった返しと、夜の暗さと、旅行者キャッチャー(注1)の賑わいの中でとてもゆっくりと筆談できず、リムジンバスは断念。空港からすぐ近くなので歩くことにした。

 車を避けながらなんとかホテルへ着く。ほっと一安心でチェックインし、鍵入れらしきものを貰ったのだが、部屋前まで来ると鍵が入っていない。戻って身振りで伝えると「もう無くしたのか?」という疑いの目でされてしまった。う〜む、いずれも今度の旅行での中国人とのやり取りの困難さを予想させる一日目であった。

 もっとも考えてみれば他のことは一通りうまくいっている。M先生はホテルからの電話で重慶の陳さん(知り合いで彼の研究室にいらした方)に連絡が取れたし、明日の国内線の乗り場も友人達が見つけてくれた(注2)、何よりレストランで「結帳(jiezhang)」が通じたのである!注3)。

 それにしても中国語を使うときは気後れしてあかん。少なくともきちんと聞こうとする努力をしよう。なんだか自分の場合、最初から諦めている気がする。

 その他にも姉貴に頼まれていた免税店での買い物も出来、空港でも他に困ったことはなかった。まあ、そう思うとそんなに悪い旅立ちじゃない

 あっ、もっとも飛行機に乗るとき手荷物用に分けるのを忘れていて、慌てて分けたら果物ナイフも入れてしまい、手荷物検査で預けさせられてしまった。やれやれ。もっとも飛行機から降りる直前に乗務員さんが届けてくれ、中国国際航空(だったけ?)の手際の良さに感嘆。よかったよかった。


(注1)中国に行くと、空港や鉄道駅には必ずと言って良いほど個人旅行者をつかまえてホテルやタクシーを紹介しようとするとても親切な方々がいる。なるべくならお世話にならずに済ませたいが、そうも行かないのが個人旅行の不確定さだと言えよう。呼び方としては取りあえず本頁ではこう呼んでおこう(^^)。

(注2)乗り場確認は親切なおじさんが案内してくれたらしい。どうも切符を買うと思ったらしく、単に手配済みの切符の確認だとしったら「なーんだ、そっかあ」という感じだったらしい。う〜む、何をしようとしてくれたんでしょうね(^^)。
 兎も角有り難うさんです。

(注3)「お勘定」という意味の中国語。この日、私が初めて使ったら通じたので、この旅行中は私がこれを用いて食事を終える役目を食料大臣から仰せつかうことになる。故に私は一時的に「結帳(jiezhang)大臣」と呼ばれることになる。