1
恒例法要
元旦会
/
報恩講
/
降誕会
/
潅仏会
/
盂蘭盆会
/
彼岸会
/
永代経
/
除夜会
/
十七日講
/
定例
など/
月経
2
人生の行事
初参式
/
成人式
/
仏前結婚式
/
帰敬式
/
起工式・上棟式
など
3
教化組織
仏壮
/
仏婦
/
仏の子
/
その他
/
連研
1 恒例法要
お寺では、一年間にさまざまな法要が勤められます。それぞれのご法要が大切な意味を持っています。ともにご法要にお参りをしご法話を聴聞し、み教えに自らの生き方を問い、ともに生きてこそ「門徒」《一門の徒(ともがら)》といえます。
お寺のご法要は住職一人の行事ではありません。ご門徒皆さまと僧侶が力を合せて仏さまのお徳を讚嘆し、み教えを聞かせていただく場としたいものです。
ここでは、お寺のさまざまなご法要や定例(じょうれい)法座などの行事、月経(つきぎょう)などの意義を考えてみます。
@ 元旦会(がんたんえ)
新しい年を迎え、本堂のご本尊さまにお参りして、如来の慈悲を慶び、今年も念仏生活を力強く歩む思いをあらたにするためにお参りいたします。
年頭のしるしのお米やおローソクを届けて、本堂にお参りされない方がおられますが、何をおいても、ご本堂のご本尊さまにお参りをして、年頭のご挨拶を申すことが大切です。
A 報恩講(ほうおんこう)
ご本山では、宗祖親鸞聖人のご恩に報いるために、祥月命日の一月九日〜十六日の間の七昼夜にわたり、全国から門信徒が参拝し、盛大に営まれます。これを御正忌(ごしょうき)報恩講といいます。
一般寺院では、ご本山の報恩講に参拝するために、本山に先駆けて、つまり取り越してお勤めするため、「御取越(おとりこし)報恩講」と呼ばれています。真宗寺院ではもっとも大切な行事となっています。元上組では、それぞれのお寺で日を定められた御取越報恩講に、組内寺院が集まり、賑々しくお勤めがなされます。
新潟別院では、毎年六月二十五日〜二十七日の三日間、勤められています。
B 降誕会(ごうたんえ)
浄土真宗の宗祖、親鸞聖人のご誕生【一一七三(承安三)年四月一日】をお祝いする法要です。明治二十年からは、太陽暦に換算して、五月二十一日に勤められます。ご本山では、慶讃法要として観能会、茶会その他の行事が盛大に催されます。
新潟別院では、五月二十八日に勤められています。
C 潅仏会(かんぶつえ)
お釈迦さまのお誕生をお祝して、毎年四月八日に行なわれる法要で、一般には「花祭り」といいます
花で飾った御堂に誕生仏を安置し、甘茶を頭上から注ぎ、お釈迦さまの誕生を祝う行事で、誕生仏は右手で天を、左手で地を指して「天上天下唯我独尊」の宣言をされた、お釈迦さまの姿を表しています。
浄土真宗では、お釈迦さまは、阿弥陀さまの本願を説かれるために誕生されたのであり、そのお釈迦さまの出世本懷を慶讃する法要となっています。
D 盂蘭盆会(うらぼんえ)
盂蘭盆会とは、サンスクリット語の「ウランバナ」の音写で、逆さに吊される苦しみを意味しています。この法要の起源は釈尊の弟子、目連尊者の母が餓鬼道の苦しみから救われたという「盂蘭盆経」に説かれる故事にあります。
一般には八月十五日を中心に行なわれますが、元上組の地域では、八月一日(および七日)に「盆参」(ぼんさん)法要が勤められ、十三日に「お墓参り」がされます。
「お盆」として、日本古来の「霊魂観」と結び付いて習俗化して広く行なわれていますが、浄土真宗では「先祖の追善供養」として行うのではありません。世々生々の父母兄弟が、ともに苦悩の世界から救済される喜びを味わい、仏徳を讚嘆する法要として行います。
この意味から、浄土真宗では「歓喜会」(かんぎえ)ともいいます。
E 彼岸会(ひがんえ)
春分の日、秋分の日を中日として、前後各三日間の七日間行なわれる法要です。最近は中日だけの法要が多くなっています。他宗では、私たちの世界から仏様のさとりの世界である彼岸に至るため、六波羅蜜という修行をする期間と教えていますが、私たち真宗では、阿弥陀さまの必ず救うという本願のいわれを聞き開かせていただく、聴聞週間と位置づけています。気候のよいこの時期、お互いに誘い合って聴聞に励みましょう。
F 永代経(えいたいぎょう)
主として浄土真宗で用いられる語で、永代読経の略です。永代に代々、浄土三部経が読誦され、お念仏のみ教えが末永く子孫に伝えられることを願って勤められる法要の名称です。
一般に先祖代々の供養のために読経する法要と考えられていますが、この私が、仏法讚嘆し仏法を伝えることが、先祖の喜びになるのです。
G 除夜会(じょやえ)
大晦日の晩に、新しい年を迎えるにあたって行う仏教行事です。
お寺で梵鐘を撞いて、百八つの煩悩を払い、新しい気持ちで新年を迎える行事として定着しているようですが、私たちの煩悩は、梵鐘を撞いたぐらいではなくなるシロものではありません。
煩悩に振り回され続けたこの一年を振り返り、煩悩の身をそのまま救いあげようと働いてくださる、阿弥陀さまのご恩を忘れないためにお参りするのです。
お寺の鐘は、「ご恩・ご恩」と響くのです。
H 十七日講(じゅうしちにちこう)
法中講(ほっちゅうこう)ともいい、元上組の独自の行事です。いつから始められたのかも分からないほど昔から続く行事です。
現在は、年間五回(四・五・六・七・十の各月)十七日に、組内のお寺を巡回しお勤めとご法話をしています。お参りの方々にユニセフへの募金をお願いし、仏教徒として広く社会へ目を向けた活動をめざしています。
昔は所属寺(お手次寺)ばかりでなく、近隣のお寺のさまざまな法要にも誘い合ってお参りされたそうです。そんな広がりを再現するのが、元上組の願いでもあります。
I 定 例(じょうれい)など
お寺によってさまざまですが、定例法座といい、毎月、日を定めて法座が開かれたり、日曜日ごとに毎週法座が開かれるお寺もあります。また暁天(ぎょうてん)法座といって夏の早朝の法座や、お寺に伝わる「お講」など、それぞれのお寺で特色あるお聴聞の場が用意されています。
お聴聞こそ門徒のいのちです。ぜひお参りください。
J 月 経(つきぎょう)
毎月のご命日に、お寺から皆さまのご家庭に出張するお参りです。お内仏でお勤めをさせていただきます。
月経も大切な仏事ですので、ご命日に会わせてお花なども決して豪華でなくても結構ですが、新鮮なお花をあげさせていただきましょう。また読経の際はテレビなど消して、ご一緒にお参りください。
「お寺の法要・行事・教化組織」の初めに戻る
2 人生の行事
誕生から命終まで、私たちの人生にはさまざまな「区切り」ともいえる出来事があります。また衣食住といわれるように、暮らしの上で住宅の新築などの大事業をなさる方も多いことです。
そのような人生の区切りや、大事業にさまざまな宗教行事が行われます。「生まれてお宮参り・結婚はキリスト教・死んで仏式」というように、日本では宗教を使い分けることが何の疑問もなく続けられてきました。宗教が「人生の拠り所」であるなら、このようなあり方は、人生が定まらないといわざるを得ません。
誕生・成人・結婚等、人生の大切な行事、また上棟式など建築にかかるさまざまな儀式など、すべて「仏式」で行うことができます。住職と相談をしていただき、浄土真宗の門徒として生涯をつらぬいてみませんか。
@ 初参式(しょさんしき)
新しい生命の誕生にあたって阿弥陀如来の尊前で、人生の出発を祝う儀式です。親にとっては仏の子として育てる決意を新たにする場であります。初参りともいいます。
A 成人式(せいじんしき)
ご本山では、毎年一月十五日に成人式が行なわれています。当日ご本山の境内は、振り袖やスーツに身を包んだ大勢の新成人であふれます。お参りの後、帰敬式を受けられる方も沢山おられます。
市や町の成人式の前に、お寺のご本堂に家族でお参りなさいませんか。阿弥陀さまや親鸞さまにも成人の慶びをご報告してください。
B 仏前結婚式(ぶつぜんけっこんしき)
阿弥陀如来の尊前で行なわれる結婚式です。
深いご縁によって出遇った二人が、これからの人生を仏さまを拠り所とし、お互いに尊敬し感謝して、励ましあって生活することを、仏さまにご報告し、お念珠の交換をして誓い合う結婚式です。
(仏前結婚式は本堂を会場に行いますが、最近はホテルや結婚式場などでもできる所が増えてきました。式次第など、詳細は住職にご相談ください。)
C 帰敬式(ききょうしき)
帰敬とは、帰依の意味です。念仏者の自覚をもち、本願を深く敬い帰依する身となる儀式です。ご本山において、「おかみそり」をいただき、ご門主さま
から法名を受け、名実ともに仏弟子として生きる決意をします。
D 起工式・上棟式など
建築にかかわるさまざまな儀式のほとんどが神道形式で行なわれています。その神道の儀式の意味を考えると、オソレとケガレを「鎮め・清め」る意味になっています。
お祓いによって「鎮め・清め」た建物の根底には、「オソレ・ケガレ」があります。そのような住居が安らぎの住いになるでしょうか。
「仏式」をお勧めするのは、そのような意味のない恐怖から解き放たれ、如来さまのご加護とご縁の尊さを喜ばせていただくことこそ、私たちの本当の幸せだからです。
住職にご相談ください。如来さまのみ心にかなう「仏式」の儀式があります。
「お寺の法要・行事・教化組織」の初めに戻る
3 教化組織
年代や性別によって問題意識や生活感覚が違います。同質の生活感覚をもつ者同士が、仏教を中心として仲間づくりをし、さまざまな活動をしています。
ご門徒の一人ひとりが、お寺を単位とする教化組織に所属していただくことによって、お寺が活性化します。
あなたも参加してみませんか。
@ 仏 壮(ぶっそう)
仏教壮年あるいは仏教壮年会の略称。一九七九年に「仏教壮年会の結集に関する宗則」が制定され、全国仏教壮年会議が結成されました。これより、各寺院に仏教壮年会が結成されることになり、一九七三年以来、隔年ごとに全国大会が開催されるなど、たえず宗門の運動の中核を自負して、積極的な活動が展開されています。
A 仏 婦(ぶっぷ)
仏教婦人あるいは仏教婦人会の略称。各寺院における婦人の活動組織として仏教婦人会が結成されています。宗門の教化団体のなかでは、最大の加盟単位数を持ちます。
仏婦は、浄土真宗本願寺派仏教婦人会連盟に統括されていて、組および教区においても連盟を結成し活動が進められています。総連盟では組織の教化、研修の充実に取り組み、四月二十五日を「平和の日」と定めて学習を進め、ダーナ活動、「ユニセフ」(国際児童基金)指定寄付活動などを推進するなど、幅広い活動を展開しています。
B 仏の子(子ども会)
お寺の子ども会です。かっては日曜学校として、日曜に子どもが集まっていましたが、社会の変化で最近は日曜日の子どもも忙しく、「第二土曜はお寺の日」というように土曜校も増えています。
現実には、子ども会が非常に難しくもなっています。しかし宗門のスローガンが「念仏の声を世界に子や孫に」とありますように、将来を担う子どもにこそ、浄土真宗のご縁を持ってもらいたいものです。
宗教的に無菌状態にある子どもが青年となり、恐ろしい「偽(にせ)宗教」に触れたとき、たちまちに感染し発病します。
子どもたちを守ることは、私たち大人の責務です。子ども会の結成・発展に力を寄せてください。
C その他
ボーイスカウトやガールスカウト、仏教青年会など、さまざまな教化組織があります。少しでも、仏縁に触れていただけるよう、ご本山でも力を入れています。
ご門徒と僧侶が力を合せて、はじめてお寺が本当のお寺になります。さまざまな教化組織活動を有効に機能させ、如来さまを中心に、本当のお寺を作っていきましょう。
D 連 研(れんけん)
門徒推進員養成連続研修会を略して「連研」といいます。門徒推進員とは、所定の研修を受け、僧侶と共にお寺が本当のお寺になるための宗門の基幹運動に取り組むご門徒をいいます。
その門徒推進員は、年六回、二ヵ年で十二回の研修(連研)を受け、さらにご本山での中央教修(三泊四日)を受けていただき、門徒推進員として登録されます。
元上組での連研は、企画・運営とも門徒推進員の皆さんによってなされています。僧侶の発想でなく、ご門徒の皆さんの発想による研修カリキュラムと運営です。参加された方々は、「お寺ってそういうとこだったのか」「浄土真宗ってそういう教えだったのか」と、新たな発見をしてくださっています。
研修というと堅苦しく思われるか知れませんが、あなたの疑問や悩みを、皆でともに考えるというのが連研です。気楽に参加してみませんか。
「お寺の法要・行事・教化組織」の初めに戻る
「仏事のしおり−目次」に戻る