「法名」とは、どういう意味をもつものでしょうか。
また他宗でいわれている「戒名」と、どう違うのでしょうか。
さまざまな疑問をともに考えてみたいと思います。
@ 「法名」?「戒名」?
「戒名」(かいみょう)という方が多いようですが、浄土真宗では「戒名」は使いません。戒名は、お釈迦さまの定めた「戒律」を守って生きる人につけられるものです。しかし、現実の生活を暮らす私たちは「戒律」を守ることは不可能に近いものです。だから、「酒」を飲みながら、「お茶」や「般若湯」(はんにゃとう)などと言い換えて、「不飲酒戒」(ふおんしゅかい)を犯しながらそれをごまかすことになります。
浄土真宗は「法名」(ほうみょう)です。法名は「法」にしたがって生きる、仏弟子としての名前です。
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A 法名は「死後」?「生前」?
亡くなられた後に、住職によって「法名」を付けて頂く方が多いのは現実ですが、「法名」は、仏弟子として仏教にしたがって生きる者の名前です。親鸞聖人は、「釈親鸞」の法名を名のられながら、人生を生き抜かれた方です。私たちも生前に「法名」をいただきましょう。できれば、「法名」を私の生涯の名のりとしたいものです。
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B どうしたら「法名」をいただけるのですか?
ご本山で、「帰敬式」(おかみそり)を受けて、ご門主さまから「法名」をいただきます。手続きの詳細は住職にご相談してください。京都にお参りする機会に、ぜひ「帰敬式」(おかみそり)を受けてください。
一時代前の方は、一生の念願が「ご本山参り」だったそうです。そして、その念願を果たすことなく生涯を終える方が多かったとも聞きます。交通至便の時代になっています。お寺で団体参拝を企画したり、家族でお参りを計画されたり、皆さまで「帰敬式」(おかみそり)を受けてください。
生前に「帰敬式」(おかみそり)を受けられなかった方には、住職が代わって法名を付けさせていただきます。
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C 「法名」の意味は?
「釈○○」と、「釈」の下に漢字二文字がつけられたものが私たちの法名です。これは親鸞聖人が「釈親鸞」と名のなれながら、生きられたことにならったものです。
「釈」とは、お釈迦さまの「釈」で、お釈迦さまのお弟子となった者の名前です。親鸞聖人は、お釈迦さまの弟子を「如来とひとし(等し)」と説かれます。「如来とひとし」という、尊い「いのち」を生きる者の誇りある名のりが法名です。
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D二字では格が下ではないですか?
如来さまに格上や格下があるはずはありません。「いのち」も同じことです。法名は「釈」の一字に、「如来とひとし」という最高の価値を与えられるものです。文字数が多いほうが有難いとか格が上という考えから、「いのち」への差別が生まれます。信士・信女などの「位号」や、不退転・正定聚などの「置き字」は、使わないのが浄土真宗の本来のあり方です。
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E女性は「釈尼」と「尼」がつくのでは?
確かに従前は「釈尼○○」と、女性の法名には「尼」の文字がつけられていました。しかし、親鸞聖人は、信心の世界には「男女・老少をいはず」と示されてあります。どうして女性にだけわざわざ「尼」を付けて、女性であることを示さねばならないのでしょうか。ご本山では、一九八六(昭和六一)年から、法名は男性も女性も「釈○○」に統一されています。
女性や男性という「性」の違いを越えて、同じ「人間」として、共に生きることが大切ではないでしょうか。法名も同じことです。
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