もう、タイトルが良いもの。「狂い咲き」だよ。
これが悪い映画な訳がない。
「くるいざき」、と聞くと僕は真っ先に林崎を思い出す
んですよ。いつも。「はやしざき」を。ほら、5年生の時
同じクラスだったじゃん。少年野球でファーストやってた奴
だよ。左利きだったからさ。吹奏楽もやっててさ。え?
トロンボーン?そりゃ、林だって。いや、林も左利きだった
けどさあ。トランペットだよー、林崎は。
えぇ?違うよ!だーかーらー。ホルンやってたのは田口だよ。
しかもそれ、高校の話しじゃんよ。俺が言ってるのは、林崎。
わかんねえ奴だな。ざき?うん。そ。そうだよ。ざきだよ。
で、その林崎。たまたま彼の家に行ったらさ、彼の兄貴が
ギターやってるっつうんで。見せてもらったんだよね、ギターを。
当然エレキテルだよ。ふ〜ん、って感じでさ。まあ、当時は
まだ小学生だったしね。思えばそれが俺とエレキのファースト
コンタクトだった、という訳さ。
それから俺がロック
聴き出して、かのギターがストラトキャスターってやつだって
事を知るのは暫く後の事になるんだ。
俺の林崎の話しはこれでお仕舞い。
でも、皆の中の林崎の想い出って、それこそ十人十色でしょ?
だから、この映画観た奴100人いたとしたら、そこには
100人の林崎がいるんだな。
なんか、しんみりしちゃったね。
で、たぶん。
その中の誰かの林崎がこう尋ねるんだ。
「そんな体でバイクなんか乗れんのかよ?」
「ブレーキどうすんだよ?」
にかっ。
そして再び走り出す。クレイジーサンダーロード。