狂い咲きサンダーロード (1980)


もう、タイトルが良いもの。「狂い咲き」だよ。 これが悪い映画な訳がない。
「くるいざき」、と聞くと僕は真っ先に林崎を思い出す んですよ。いつも。「はやしざき」を。ほら、5年生の時 同じクラスだったじゃん。少年野球でファーストやってた奴 だよ。左利きだったからさ。吹奏楽もやっててさ。え? トロンボーン?そりゃ、林だって。いや、林も左利きだった けどさあ。トランペットだよー、林崎は。 えぇ?違うよ!だーかーらー。ホルンやってたのは田口だよ。 しかもそれ、高校の話しじゃんよ。俺が言ってるのは、林崎。 わかんねえ奴だな。ざき?うん。そ。そうだよ。ざきだよ。
で、その林崎。たまたま彼の家に行ったらさ、彼の兄貴が ギターやってるっつうんで。見せてもらったんだよね、ギターを。 当然エレキテルだよ。ふ〜ん、って感じでさ。まあ、当時は まだ小学生だったしね。思えばそれが俺とエレキのファースト コンタクトだった、という訳さ。
それから俺がロック 聴き出して、かのギターがストラトキャスターってやつだって 事を知るのは暫く後の事になるんだ。
俺の林崎の話しはこれでお仕舞い。
でも、皆の中の林崎の想い出って、それこそ十人十色でしょ? だから、この映画観た奴100人いたとしたら、そこには 100人の林崎がいるんだな。
なんか、しんみりしちゃったね。
で、たぶん。
その中の誰かの林崎がこう尋ねるんだ。

「そんな体でバイクなんか乗れんのかよ?」
「ブレーキどうすんだよ?」

にかっ。

そして再び走り出す。クレイジーサンダーロード。


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