夏


禹帝
 黄帝の曾孫。姓をジ[女以]、名を文命。舜の時代、父の鯀は治水に失敗し、誅殺された。禹は父親の仕事を継いで、司空となり、土木事業に九州(全国)を奔走すること十三年、ようやくその事業に成功した。仕事中に家の前を三回通ったがあまりの忙しさの為に立ち寄ることさえ出来なかったという。
 その功績が認められ、舜から位を譲り受け、王となった。九州の地方から貢がれた銅を使って九鼎を鋳造し、その面には全国で見知った害虫害獣鬼神等を彫り込み、民衆がそれを見て被害に合わないように勧告したという。
 彼も有徳の者に禅譲しようとしたが結局子が位を継ぎ、始めて血族による君主制が確立した。
 漢時代の画像石には鋤を持った禹の像が描かれていることが多い。『淮南子』や『山海経』には神話的な禹の治水伝説も伝わっている。
二百五十九