九月二十日(二日目)

夜ホテルにて。

 今日の大勝利は取りも直さず中国でネットにつなげて、ホームページを更新したことかもしれない。しかしそれは余談になる。いづれ機会があれば述べよう。
 昨晩はいまいち眠れなかった。毛布一枚しかなかったからか、今日の動向が気になったからか分からない。さて朝、ホテルを出る。値段的にはいいのだが、電話コンセントがないことのM先生の不満や、それよりも位置的にとても不便なことからこのホテルは一泊だけに決めたのだ。ホテルを出るとき、御手洗いを詰まらせたことを言わねばならぬのが気が引けた。言葉の勉強と思って言ったのだが、お姉さんの反応を思うと言わなかった方が良かったかな(^^;;)。

 今日の予定は今晩のホテル探し、次の蘇州への交通手段の手配、そして観光とすることはいろいろだ。しかしホテルを出たものの、何しろ昨晩バスで連れてこられたので現在位置でさえ分からない。まず地図をゲットし、歩き回って現在位置を確認。

 新たなホテルへ向かう。行く先はM先生がネットが出来ると調べておいたところ。すごく高級そう。こういうホテルはどうも気が引ける。しかもバックパッカーのような格好をしているのでなおさらだ。今一つ受付嬢の印象が良くない。私の言語能力がないしなのだが。さて、値段は約一泊一人200元。さすがに部屋はきれいだ。日本の普通のホテルクラスだ。昨晩のホテルとはレベルが違い、3倍の値段も分かる気がするが。  さてホテルを出て屋台で朝飯。パンに肉を挟んだものだと思ったらビスケットのようなものだった。ビスケットは嫌いなので、まずい。友人らは肉まんでうまそうだった。

 さて船の切符売場へ行く。これがまた近いのだ。便利便利。しかも結構あっさり取れた。なぞの紙を渡されたが解読できず。

 さて岳飛廟へ。いよいよ杭州のメインである。門を入ると正面に建物があり、そこにでっかい像があった。でかい。その周りには額がいろいろかけてあるがよくわからない。岳飛の一生を書いた壁絵も描いてある。そういえば杭州、当時の建康も一時は金軍のもとになり、南宋高宗はもっと南まで逃げたのだ。それらを取り替えしたのは岳飛らの活躍だった。彼だけのお陰ではないが、彼らのような人物がいなかったら、宋はもっと早く滅亡していたかもしれない。そんなことを思いながら回る。
 墓へ行く。息子(だっけ?)の墓とならんだ、本当に小さなこんもりとした盛り土である。前に並ぶ石像は古いのだろうか。確かに宋代の雰囲気を漂わせているが...そんなことを思ったりする。後で記念館の展示を見ると文革の頃に壊された写真があり、そこに石像も捨てられていた。また宋の時代の石像が発掘され、ガラスケースに展示されていた。やはり石像自体は新しいものなのだろう。展示されている宋代のものは表面がもうかなりぼろぼろで顔のでこぼこもはっきりしない。当時からそうだったのか分からないが。さて記念館もあり、岳飛に関係する文物を陳列している。岳飛と並ぶ武将の経歴や、岳飛の書いた文章などが展示されている。さて、載せてある文章が岳飛の直筆かがわからない。宋時代の紙がこんなに奇麗に残るものであろうか。ありえなさそうだ。ともかく岳飛はなかなか達筆で知られ、セイトの孔明廟にも岳飛が書いた出師の表の石刻があった。

 そうそう、シンカイらの像ももちろんあった。私は唾を吐きかける人を見なかった。友人は見たらしい。私は岳飛廟へ来るとき、冗談半分本気半分で「シンカイ像に唾をかけにいかなきゃ」と言っていた。こうしてみると流石にとてもかける気にはならない。彼も流石にこのような不名誉な辱めを受けるとは思いもしなかったであろう。中国は歴史と言うものを大事にしてきたが歴史を重んじるところにはこういう恐ろしいところもある。憎まれ始めるととことん、合理性を超えて憎まれるのだ。シンカイが良かったのか悪かったのかはここで述べるべきではないが、それにしてもやはり死後にこのような目にあうのはやるせない気がしないでもない。まあそれだけ岳飛に対する人々の思い入れが深いのであろうが。

 島へ向かう。シュウキン墓を通り、まず有名な飯屋へ。なんと、センナドウ様に教えてもらった乞食鳥が。それに加えてトンポーローも頼む。乞食鳥は確かに美味かったが、とんぽーろがそれ以上にうまかった。友人はチャイナドレスの案内人が印象に残る。

 博物館へ。ただただ感動。また来ることを決意。カモト文化、リョウチョ文化、呉越、近代史などなど興味は尽きない。四庫全書が収められている文潤閣もあった。4:45に追い出される。小雨の中、のんびりと白楽天にちなむ白堤を通り、帰路へ向かう。西湖は本当にきれいだ。基本的に自然の風景には心を動かされないのだが、なんともいい雰囲気である。

 本屋へ向かう。2軒あったが、開放路のシンカ書店がでかくていい。散々友人たちを待たせてしまった。いくら見ても飽きない。何しろ探すものはいくらでもあるのだ。しかしこれだという本はなく結局買ったのは中国書画2というCDROM。  帰りに飯屋による。賑やかな飯屋。