十月二日(十四日目)

 上海空港前のホテルにて。

 今日は実質的最後の日である。私は上海博物館と決めている。朝飯をホテルで食う。もらった25元券で、小包子二個とおか湯とお菓子。う〜ん。

 リムジンバスで市内へ。これが結構時間がかかる。というかお客さんが溜まるまで出発しないので出ない。で、結局繁華街である南京東路についたのが11時。そこで一時間買物。中秋節のせいか月ペイ特集があちこちでやっている。とにかく人が多い。そういえば昨日は国慶節で、しばらく休みらしい。夕方には兵隊さんが人民公園を取り巻いてあちこち警備していた。何かあるのかもしれない。

 いくつか百貨店を回る。いやあ、いろんな店があるなあ。中心から東へ向かう。そのうち第一食品なんたらという店があり、そこに食品が売っており、お土産用の月ペイを買う。二階ではスーパーマーケット形式になっており、お茶を安物だけど買う。今飲みたいヨーグルトを買う。結局御土産は400元以上かなあ。それでも足りないので空港で買うつもり。

 慌てて上海博物館へ。もう12時15分。まず前にほとんど見た記憶がない絵画へ。いやああああああああああああああああ、たくさんあるよ〜〜〜。中国絵画に興味を持ったのは去年の秋に台湾へ行ってからなので、去年の春に行った上海博物館はまともに見た記憶がなかった。だからである。

 やっぱりすごい。本物かどうかを鑑定する眼力はないが、とにかく有名人のが多い!去年見た時、印象として「歴史博物館というより、美術館。つまり北京歴史博物院より台湾故宮に近いのでは?(なお当時台湾故宮は見ていない)」という感想を持ったが、絵画に関しては立派に歴史博物館といえるであろう。というのも時代順になっており、有名人の絵をそれぞれ一点ずつ掲げるような感じにしてあるのだ。といっても、五代以前は唐時代の仏教画とかが中心でたいしてない気がした。

 ということで宋以降。リョウカイ。最近日本でみたけど今回のもなかなか。カクキ。呂紀。あれ?呂紀のはあんまりだなあ。彼のは台湾故宮で感銘を受け、日本でがっくりしたものを見て、セッコウショウではまあまあのがあったりして、今回いまいち(ちなみに度素人の感想なので信頼しないでほしい)だった。あんまり名を聞いたことのないのでいいのがあったりする。

 さて、感激が元から。元代四大家があったよ〜。故宮で見れなかったのが無念だったのだが、今回見れて感激!いっつも4人の経歴を覚えようとして忘れる。でも墨を減らして表現するゲイサン、逆に息苦しいほどの王蒙(だっけな)とか確認できて楽しかった。

 明代はセッ派、呉派とかがちゃんとある。後者は沈周、文徴明とか、唐寅とか。そしてそれを受け継ぐらしい四王呉ウン(王時敏、王コンとか、あああ、もう忘れた)もそれぞれの作品が少しずつあるのだ。画風の違いとかも書いており、それが絵を見て結構納得できる。でも早速忘れているな。よし、今回のを機会に覚えるぞ。

 清代は四大僧とかで八大山人とかである。四大僧という言い方は知らなかったなあ。そういえばこの絵画展ではそういう感じで「○大家」みたいにまとめようとし、それぞれの作品の特徴を述べ、それぞれを展示している傾向にある。だから素人としてはある程度知る気があればとっくみやすいのだ。八大山人のはあちこちで見かけるようになったがやっぱり面白い。「奇」とかかいてあるが確かにそうだ。

 あとは特殊画家、ジョイ、とかの絵もあったよ〜。いやあ、やっぱりさてさらには金陵八家、ヨウシュウ八怪とかもある。前者は全然覚えてられないけど。後者は南京市博物館にもあり、なるほど〜とか思いながら見ていた。でも後者はあんまり好みじゃないなあ。なんかジョイの作風を延長した感じ。まあ名前も覚えられへんな。

 さて書に行く。オウギシヤチョツイリョウは真跡ではないが、宋時代の拓本があったようだ。それ以降はまあ、いろいろ。王安石と司馬光の筆跡が並べられたりしていて面白い。王安石のはあんまり上手い感じがしなかったけど、そういう問題じゃないや。しかも王蒙の文章付き(多分)。蘇軾の真跡もあった。あとは文徴明とか。でも明清以降は結構たくさんあったけど分からないや。金農のはゴシックで分かりやすいけど。

 特集はシルクロード。いやあああああ、これは凄かった。実は私は中国史が好きだが、多くの日本人のようなシルクロード好きではない。というかあんまり興味ない。でも今回の展示は凄かった。大体凄く保存が良い。紀元前数百年前の布の生地や帽子がそのまま残っていて信じられない。しかも模様や刺繍の絵まで残っているのだ。紀元前後の文字の刺繍とかあり驚きである。唐時代のはフクギジョカの絵が書いたのがある。紀元前後のはやけに西洋人っぽいのもあるのだ。そういえば南京市博物院で、中国の多民族性を表現する部屋で、各民族の写真が掲げられていたが「西洋人やんけ〜」というのが結構あったのだ。今と当時が同じなのかは分からないがともかくもすごく西洋人的な文物に驚く。中国は今から思うと全く他民族っぽい(というか人種自体が違いそう)土地でそのころからあそこを支配しようとする欲望があったのだなああ。というか中国では民族という考え方がなく、中華文明を用いるか(尊重するか)しないかであったという話がある。民族だけでなく人種でさえも関係ないのではないか、そういう感じが強くした。すなわち生まれながらの血には拘らない、その文化で決める文化至上主義を改めてすごいと思う。

 そういえばミイラも成人男性と赤ん坊のがあった。ああ、そういえば休みなせいか、上海博物館も人で一杯。  最後一時間で残った展示、すなわち貨幣、玉、青銅器をさらっと回る。貨幣は今回買った太平天国のところ、時代的に興味のある南北朝、五代十国だけぱっと見た。玉は部屋だけ見た。大きな展示の変化はないようだ。青銅器も回っただけ。しかし私が今年の年賀状で載せた虎が人を食っているような青銅器(虎食人ユウ)があり、これは京都の泉屋博古館とどっか欧米の博物館にしか存在を知らなかったので、「おおお、中国でも三番目(世界で二つなんだと勝手に思っている)に発掘されたんか〜」と思って見たらパリの博物館から借りたものだった。

 それ以外の青銅器は新しいものはないようだ。大きいものが入った気がするが気のせいかも。ああ、さらっとみたけどやっぱりゆっくり見たかったよ〜。

 さてすんごくショックなこと。南京博物館実録が190元で売っていた。ちっきしょ〜、本場の南京博物院では350元だったのに〜。おかしいと思ったんだ、日本円でも高すぎるから。南京博物院は骨董屋、というか御土産屋がたくさん博物館の中に進出して、館のおばちゃんもどっちかというと商売人みたいな感じだったので怪しいと思ったのだが。ちなみに南京博物院では売っていた二個所で両方とも350元でした。しくしく

 上海博物院実録やリョウネイショウ博物館実録もあった。前者は200元で後者150元。で、買おうと思ったが思わずCDROMをみつけてそれにつぎ込んでしまいました。杭州でも絵の関係のCDROMがあり、五代宋編を買ったが、今回のシリーズはすごい。青銅器で上下に分かれ、古代陶磁器や、絵画はもちろん、陵墓や石刻編、工芸編とかもあるのだ。十幾つかあるのではなかろうか。一枚170元と高い。ああああああ、でもシリーズがほしい〜。まあ取りあえず初めてのこともあり、青銅器上(大体下が見つからなかった)と石刻(漢時代の画像石とか)を買いました。あとは以前買っていなかった薄い上海博物館陶磁器パンフと今回のシルクロード特集を扱った雑誌(シルクロード特集をした実録は350元が200元になっていたけど挫折)を買った。あああ、あとTシャツ。中国史MLで故宮に落款(絵とかに所蔵院を押した奴)を並べたデザインのTシャツかハンケチがあるという話を聞いて羨ましくなったのだが、おそらくそれとは違う印鑑のTシャツを発見し一枚50元で2枚買ってしまう。買ったものは以上。

 若干酔漢のため、だんだん思い出話になってくる。覚えているうちに書かないと忘れてまうし。今回の旅行では買いたかった品物で買えなかったものが多い。

 人物辞典。さらに充実したのがほしくて、コウシュウの新華書店で結構いいのがあったのだが買いそびれた。後半は体調もあってあまり本屋へ行く余裕はなかったり、行っても歴史関係はたいしたのがなかったり残念である。買わなかったけどみつけたのは、上下巻で時代順になっているやつ。秦始皇帝以降の皇帝の経歴をそれぞれかなり詳しく述べた上下二巻の辞典。上海博物館であった有名な皇帝や臣下を伝統の絵とともに載せた一冊。などかな。

 落款一覧。どんな落款が誰のかを書いた本。これがあれば書が誰の所有だったか知れてすんごく楽しいと思う。探したのは杭州の本屋と南京の本屋。前者では辞書みたいにすんごくでけえのがあり、まああるんだなとは分かったがとてもハンディとは言えず実用的でない。で諦め。

 ハンディといえば中国歴史芸術ハンディブック(仮名)。皇帝一覧と説明、年号一覧、芸術家一覧と説明が書いてあり、博物館で必見の本。そういうのがあったらほしかった。見つからない。日本でも実はあって持っているのだがあんまり気に食わない(我が侭)。ないもんだねえ。

 鏡関係の本。神獣鏡のどの神が何かを書いたのが欲しい。日本でもあるかもね。日本のを探すか。今回ぱらぱら見たがハンディでいいのはなさそう

 だんだん方向が変わって、中国史ゲーム。ゴシショを買ったが失敗なようだ。五代十国のゲームとか欲しかったなあ(ないって^^)。ちなみに今回の旅行でI先生は私が台湾で買い、今回持ってきた「皇帝」というゲームにはまっていました。自分で買ったくせにやっぱり今回教えられると改めて面白そうだ。

 竹本泉関係。これに関してはやはり台湾でさえなかったのにないな。あとはVCDで「Key The Metal Idol」のが欲しかったが当然ない。EVAでさえなかった(もっともEVAは台湾版を既に揃えている)。VCDはやっぱり種類が台湾に比べて全然ない。というか日本のアニメが。確か今回書いたと思うが日本のアニメーションの白蛇伝はあり、買った。日本のアニメであったのはスラムダンクがよくあり、キャプテン翼も結構あり、セーラムーンもみかけた(それらは興味はないんで買いません^^;;)。ジブリも無かったなあ。でも香港の歌手でか、ジブリの曲(魔女の宅急便とか)を中国語で(内容知らないけど)歌っている人がおり、それはあったな。今日、人民公園のところで、屋台街に流している曲に多分その人のトトロの中の歌(「まいご」?)がかかっていた。なんか妙にその人のCDが買いたくなったが買い損ねたね。まあまたの機会に。

 ああ、だらだらと書いてしまった。大体書いたが書き損ねたことは今度にしよう。で明日、午前中に上海を出発予定。