コピーコントロールCDの問題
■音楽文化の為ってほんまかいな?
 だって、ファイル交換のせいで売り上げ下がってるて言うけどね、裏を返せばそれで買ってもらえなくなる程度のものしか出してないっていう事でしょ?。
 歴史的な名盤や音楽史上大切な音源は簡単に廃盤にして知らんぷりで、まるで私的コピーまで罪悪のように言い出すのはどう言うこっちゃろね。

 もちろん企業やから、100万枚とかの単位で売れるものを出そうとするのは当たり前なんやけど、それにしても「音楽文化」を言うのであれば、音楽を息永く愛し続けてアーティストを支えている、本当の意味での「音楽愛好家」を無視しすぎとちゃいますかね?

 メガヒットクラスのアーティストをずらりとカタログに揃えて、タイアップやらなんやらでガンガン売って・・・・というのがレコード会社の言う「音楽文化」なのだとしたら、あんたの言う音楽とワタシの愛してる音楽とは別もんやちう事やさかい、あんたら何言うても、聞く耳こっちにはありませんで・・・ちう話ですわ。


■音楽愛好家の生態
 ワタシと同年代(ちなみに1960年生まれです)ぐらいの方なら、中学ぐらいに本格的に音楽を聴きだすと、小遣いを貯めて買ったLPを友達と貸し借りして録音したり、FMのLP丸ごと流してくれる番組などからエアチェックしたりして、色々な音楽に触れたというのが一般的やないかと思うんやね。

 で、要はそうやっていろんな音楽に触れて音楽にハマって行った連中が、静かだけど延々と音楽を愛し続けている、本当の意味での「音楽文化」を支えている人たちなんとちゃうのん?・・・てことやね。

 もっと下の世代でも、例えば『レコードコレクターズ』見たいな雑誌を参考書にリアルタイマー顔負けのこだわりを持った愛好家もいるし、J-POPでもインディーズから上がってきたバンドなどメジャーになっても作品をちゃんと買ってくれるファンがついている、なんてことがあるし。


■ほんで、広がって行くわけやん・・
 で、ずっと音楽を愛しつづけて、オトナになって昔買えなかった音盤を手に入れる。また同じような世代のライターさん達がせっせと雑誌などで過去の埋もれた名盤を紹介して、また若いファンがつく。
 そうやって音楽が広がって行くのが健全なんとちゃうかなぁ。で、やっぱりそこでも接しきれない音楽があるから、人にダビングして貰ったりして紹介してもらう。また新たな出会いをする。こう言う人らは良ければ買うんよ。

 でも、そういう付き合い方をしていると、どうしても手に入らない作品とか出てくるんやね。最近でこそレコード会社やライターの方たちが頑張ってくださったおかげでずいぶんといい環境にはなったけども、特にブルースマンやR&Bシンガーなど権利関係のあやしい盤でしか手に入らないものも沢山あるし、日本のロック黎明期の歴史的に価値のある音盤はごっそり廃盤のままだし、CD化されても薄いケースに入った情けない装丁で出されている程度。こんなトホホな状況ですわ。
 こういうのがいつでもきちんと手に入る環境が立派な音楽文化と違いますかね?


■で、ケシカラン訳よ。
 だから、要は、本当の意味で「音楽文化」を支えてるのはこういう人間たちと違うのん?ということですわ。

 タイアップ曲をレンタルで借りてダビングして音楽を聴き捨てて(注1)、やがてオトナになってCDを買うどころかレンタルさえしなくなるような人間相手に100万枚売っても、それの何が音楽文化やねん!!!と声を大にしたいのよね。
(右上に続く)
(左下より)
 こういうファンの為に、本当の「音楽愛好家」が、「似非CD」を聴かされるのは我慢ならないという事ですわ!
 CDを家に数百から数千枚持っている愛好家と、一生で10枚も買わないような人らとどっちが大事なのよ。「文化」を支えてるという自負があるなら、千枚買う人を1万人、10万人と増やす努力をするのが音楽産業としての矜持と違うかなぁ。(注2)
 そやね、メガヒットを狙ってるうちに音楽文化を貧しいものにしているのは、そんなレコード会社自身なんやと思うな。ワタシは。


■それでや。あんたらに相談や。

 CCCD蔓延らせて、収益が上がったらですわ。そしたらね、音楽的に価値のある「名盤」はカタログから外さずに置いといてくれるんやなぁ!>レコード会社殿!!それでこその音楽文化やもんな。おい。
 それに、洋楽ならきちんとライナーや歌詞の訳をつけて、ボ・ディドリーのヒット曲を「ウィリー・ディクソンの作品です」なんてタコな事書いてお茶を濁すライターでない、きちんとしたライターさんの力の入った解説入りで出してくれるんやな!
せめて、コレぐらい約束しなはれ。


■思い上がりが過ぎるんとちゃうの?
 この問題で、件のCDモドキは私的複製権の侵害やという議論がありますわな。まぁこれは、著作権法第30条1-2にある様に「技術的保護手段」によって守られていれば、私的複製を制限できるようになってるので、レコード会社的には大丈夫なんよね。

 んが、しかし、業界の人間の中には私的複製そのものが認められてないんだということを言う人間がいるわけですわ。すべては自分の手中にあると。
 
 んな訳ないでしょ?。
 
 著作権法で著作権・著作隣接権の除外規定として私的複製が認められている訳でつまりそれに基づく、許諾権も請求権もないんやから。(注3)
 有りもしない権利をあたかもあるように装って、無用な罪悪感をユーザーに与えてるのはめっちゃ悪質とちゃう?
 P2Pで広く楽曲をばらまくことと、プライベートな範囲で音楽愛好家の行う行為をいっしょくたに悪と決めつけとる。どういうこっちゃろね。  

 「音楽文化」っていうとやねぇ、音楽家とレコード会社とリスナーでつくるもんでしょ?そもそもは。忘れてるんとちやう?
 つくり手だけの都合でどうなるもんでもないでしょ?三波春夫さんも「お客様は神様」って言うたはったん忘れた?
 
それにだいたい、著作権って元をたどればアメリカで移民や奴隷の歌を集めて楽譜に自分の名前を入れて金儲けしてた連中が取りっぱぐれないようにつくられたもんやん。

 つまり、音楽家と聴き手の1対1の関係のところに割り込んできた奴を守るためにできたもんやないですか。この法の出来たアメリカで音楽家が必ずしも守られてこなかったというのはアメリカ音楽に詳しい人なら知っている事実やしね。
 だからといって、現在の音楽流通のしくみから言っても、守らないわけにはいかない決まりではあることはわかってる。でも、そもそもはレコード会社なんてものは、「音楽文化」を担うと思えば思うほど、音楽家とリスナーに対して謙虚であるべきと違うのかいな?。

 決して、だから不正コピーに煩く言うなって事とちゃうで。
 「音楽文化」の衰退を嘆くのなら、誰が音楽を支えているのか、もう一度きちんと考え直して欲しい・・・・というこっちゃ!
わかった!??
わかったら、CDモドキ、さっさとやめなはれ。

(2002/5/13)
(注)
  1. このこと自体否定はしません。きちんと使用料を払っているわけだし(カラオケや放送のサンプリング方式よりずっと正確に対価はアーティストに渡るはず。借りる人は後ろめたい気持ちになる必要はないのです。)、高い再販価格で流通している現状ではむしろ自然な音楽への接し方やとおもう。もちろんこの場合も私的複製は認められます。(参考:『よくわかる著作権ビジネス 1』 安藤和宏著・リットーミュージック) 新作のレンタルを許諾しておきながらレンタルしてコピーする事を罪悪のようにいうレコード会社はいったいなんのつもりでしょうね。だいたいレンタル店だってNTTで調べたら6,000軒ぐらいあるんだからおいしい商売なはずなんだけどね。
  2. もちろん、気に入った10枚を一生の友として愛し続ける付き合い方もありますわ。ワタシはそれは否定しません。要は音楽への愛の深さの問題やね。
  3. 著作権の除外規定は著作権第三十条にある。
    レコード製作者の権利として著作隣接権で保護されるという発言もあるみたいやけど、これも著作権法第百二条で第30条の除外規定を準用することを定めてくれたはります。

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