ハンバーガーは 和でつくる
1、せまいと言われる僕らの世界よく言われる事として、『教師は常識を知らない』とか『教師はその世界しか通用しない』という事があります。なかなか人は本音では話してくれませんが、僕は面と言われた経験が何度かあります。そのひとつは 家庭訪問を繰り返すうちに懇意になった親御さんが 晩酌をしながら言われたわけですが、その時 僕はその親御さんにとって『教師』ではなく、『仲間・友人』となれたからこそその言を出されたのだと思います。なかシラフでは本音は出てきません。 『教師はその世界しか通用しない』と言われると、正直 腹も立ちますが、僕自身 モットーはがんばりしか無いような人間なので、今の仕事しかわからないですが 多分自分にとって 『教師はその世界しか通用しない』というのも当たっている様に感じます。しかし 悔しいのは事実。 僕らの世界で当たり前のように思っている事は、他の仕事の上ではそうでないという話しは よく聞きます。 そういえば 先日 ボーナスをもらいましたが、毎年 あたりまえの様にもらっているボーナスも、他の業種では もらったり もらえなかったりするのです。そう言えばボーナスをもらった時、去年に比べると 今年は一年生を担当させていただいて、いい思いというか 楽させていただいているのに こんなにもらっていいのだろうか?と思ってしまいました。 一般の会社はきびしいそうです。ボーナスについても 他の社員とは仕事の業績に応じて 額も違うのが常識です。まァ、教師の業績と言うのは 数字であらわれたりしにくいわけですから、それはそれだと言えますが・・。 |
『教師は常識を知らない』『教師は常識を知らない』とか『教師はその世界しか通用しない』と言われる要因は、教師の仕事は 他の業種との交流があまり日常的には行われないことが大きいと思います。みなさんは どうお考えでしょうか?以前、校長先生(ヘッド)から御聞きした事ですが、ヘッドは 地域の人々との交流(ほとんど 飲み会だったりして?)や友達との交流を度々持たれており、また その機会を大切にと考えているそうです。その会は ヘッド以外は教師がいない構成だというのが大切な点だ と御聞きしました。その会を通じて学校以外の世界が見られるのが良いし、他の世界の色々な事柄が見えて参考になり、且つ 教師の世界に小さくまとまる という危惧から解放されるということでした。 僕自身を考えると、教師以外の友人と話し合える機会(飲んだり)は 一年に数回と言うありさまです。学年会や親睦会の機会は皆勤するつもりですが、その分、教師以外の友人と話し合える機会はとれていません。なんとかしなければ せまーい教師の世界にはまりこんでしまいそうです。
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U、ハンバーガーのできるまで☆いらっしゃいませマクドナルドの店に入ると すぐに次のような声が聞かれます。 『いらっしゃいませ。こんにちは。こちらへどうぞ・・。』 どの店でも同じ様な受け答えなので『これは 言い方が決まっているのだ・・』とすぐにわかります。そしてハンバーガーだけ買おうと思っているのに、 『ごいっしょに ポテトいかがですか?』などと問いかけられ、ついポテトも いっしょに買ってしまったこともあるかもしれません。御存知のように、 マクドナルドでは すべての動きにマニュアルがあり『こうしなさい』という一定の決まりやモデルパターンが決められています。だから極端な事を言えば、日本のどこのマクドナルドのハンバーガーを食べても、同じ作り方なので同じ様な味と言えます。ただ、その店、もっと細かく言えば そのハンバーガーにかかわった人によって味は微妙に変わります。この事柄がまさにこのレポートの大きなテーマなので後でくわしく述べます。 ☆ハンバーガーの作り方マクドナルドでは パンをパンと呼ばずに「バンズ」と言います。ハンバーガーは バンズにお肉・ミートを焼いたものをはさみます。味つけは、ミートへの塩・コショー・オニオンと 焼いたバンズへのケチャップ・マスタードとピクルスというシンプルなものです。 バンズは二つに切られていて、それぞれクラウンとヒールと呼びます。クラウンとヒールをトースターで焼きます。はじめにクラウンを焼きます。 55秒で焼けますからトースターから取り出して すぐヒールをトースターに入れた後、 ケチャップ・マスタードを専用容器(ディスペンサー)でワンショットしてピクルスを一枚のせます。これら味付けを『ドレス』とかっこ良く言います。
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V、パートとしての仕事☆基本の仕事ミートを焼く担当はグリルと言いますが、グリルを例にして『基本の仕事』について話をすすめます。 グリルの最少の仕事は ミートをマニュアル通り焼きあげることです。 マニュアルによると@グリルをきれいにする(油を取り除く)マネージャーの命令を聞き 復唱する。 マネージャー「ニューオーダー 12バーガー プリーズ」 グリル 「12サンキュー」 Aミートを手元から順に 命じられた数だけ置く 同時にタイマーを押す
B20秒たったら タイマーが鳴るので 特別な道具で押し付け 焦げをつくる
※ ここで 「ヒール プリーズ」と言って トースターからヒールを出し 乗せてもらう(ひとりで 作っているなら 自分で乗せる)
☆全体に共通の事柄QSC クオリティの向上・維持、お客様へのサービス、そして厨房全体の清潔さの追及 TLC 何事にも 優しく、愛情をこめて、注意深く取り組む ハンバーガーを作りながらQSCとTLCという二つのキャッチフレーズの推進を同時に行ないます。これについては、各自の裁量によって より高いレベルを追及しなければならない事になっています。 あいまいな仕事内容ですが、 「基本の仕事」に加えて「やらなければならない」事柄で、いくら「基本の仕事」ができても これがおろそかならば 仕事ができるとは周囲からも見てもらえません。 |
W、こだわり、極めることの大切さふたたびグリルの仕事を例にしますが、 @グリルをきれいにする(油を取り除く)マネージャーの命令を聞き 復唱する マネージャー「ニューオーダー 12バーガー プリーズ」 グリル 「12サンキュー」 グリルをきれいにするという仕事の、その「きれいさ」の程度はどれくらいかと言うのが大変むつかしいわけですが、月並みな表現で言えば「ピカピカ」にすると言うことです。いつマネージャーからのオーダーが入るかわからないので、ミートを焼いていない時間のほとんどは、グリルをきれいにするために時間を使って 最高の状態でミートを焼けるようにしておきます。 ということは、ミートを焼き上げた後も 絶え間なく動き続けてグリルとグリル周辺のクリーンアップに努めているわけです。ただ次のオーダーが入るまで 何にもしないで過ごす…なんて考えられません。
この『ドレス』もドレスされたバンズを上から見た場合に、
良い評価をされないと当然時給は上がらない…というのはあたりまえで、少し厳しい様ですが、たとえば基本的な仕事がいつまでたってもできない・やれない人がいたとすれば、そのうちその人はクビになっていくだけの話です。秒単位でマニュアルが決められているので、動きが悪いと みんなについて行けずに辞めていくことになります。
また、基本の仕事はできていても、マクドナルドでは常にクルー(店員の事)の レベルを向上させるような仕組みがありました。次の表を見てください。
たとえば『山口君』という新人のクルーがいます。
山口君は 表で言うと @もDもクリアしていないと言えます。
こわい面も紹介します。小林君は CとBはクリア出来ているので700円もらっています。先のマネージャーとの約束を達成できない場合…つまり 山口君が仕事を十分覚えられなかった… こんな事が続くと 小林君の時給は700円のまま上がりません。また、小林君が『オレは700円で良いので DやAランクはめざさない』と向上心を持たない雰囲気だったとしたら、小林君は徐々に アルバイト予定からはずされて行くことでしょう。要するに、同じ700円の時給の他のクルーに 働いてもらう事になるのです。ホサれて いつのまにかやめていくでしょう。 自分の仕事は その立場は違っても、常に勉強して レベルを上げなければ
ならないのです。
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X、担当の仕事は どこまでやるか基本的な仕事は当然 担当した場所によって違います。しかし、ハンバーガーを 分業と流れ作業によって作り上げているわけですから、それぞれが関連していることは言うまでもありません。 ここに、『担当している仕事だけが自分の仕事では無い』と言う、仕事の広がりが生まれます。 自分の担当した仕事が自分にとって大変であっても、それをやりきり 更に深める事はあたりまえだ…という事は前述しました。マクドナルドで大切にされていたのはこの点と、『他の人の事を考えて、他の人がやりやすい様に』という点でした。
『他の人の事を考えて、他の人がやりやすい様に』という点の解釈、次は
『みんなの協力で仕事をする』ということでしょうか。
『みんなの協力で仕事をする』ということがより大切となるのが、
全体に共通の事柄 QSC(クオリティの向上・維持、お客様へのサービス、 そして厨房全体の清潔さの追及)と TLC(何事にも 優しく、愛情をこめて、注意深く取り組む)という、2つの目標です。
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Y、最高のハンバーガーをつくるために☆評価の見えにくい教師の仕事教師の仕事が 評価の見えにくいことは、今さら言うまでもないことです。 それは 係わっている対象が、車でもハンバーガーでもなく 成長を続ける生徒達だからです。『生徒がどう変わったか』『生徒にとって得であったか』 という観点が、あえて挙げるなら教師の評価される観点でしょうか。 もちろん 多様な生徒がいるわけですから、『生徒がどう変わったか』という点も 「Aという状態から Bという所まで向上した」として、A・Bの基準については色々と考えられるわけです。そして 今指導した事が、そんなに即効で現れてこないことも多いです。 また「生徒は どのようなことについて向上したのか」という点でも、たくさんの切り口・見解があるわけですから、余計に評価もしにくいです。 しかし 評価がしにくい・見えにくいからと言って、教師自身が自分の活動について 定期的に総括をしないのはどうかなと思います。 |
たとえば新しい学力観に応じた授業展開をめざせているでしょうか? 僕も新採の頃は一生懸命教材研究をしていたのに、あの頃に比べると教材研究は少ないです。マクドナルドでは 『自分の仕事は常に勉強してレベルを上げなければならない。 命じられた仕事であれ、自分の担当した仕事が自分にとって大変であっても、それをやりきり 更に深める事はあたりまえ』という事だったので、今の僕の教材研究の状態ではマクドナルド・一般企業では『 ク ビ 』というハメになるでしょう。 全員の生徒の…というのは現実に不可能でしょうが、自分の係わっている生徒についての『現状の分析』『指導方針』『到達目標』『具体的指導内容』『評価』などは出来ているでしょうか?
「Aくんは 今どうなんや?」と尋ねられて、『現状の分析』『指導方針』『到達目標』『具体的指導内容』『評価』など、スラスラ答えられますか?
新しい学力観の 一つの見方として、生徒の欠点を直すよりも長所を伸ばす
という考えがあるらしいです。まだ 研修不足ですが、少々意味を拡大してとらえて教師に置き換えるなら、
『自分の得意なことでよいから、その取り組みを他の教師よりがんばろう』
つまり好きな事や得意な事からでも(もちろん教育に関して)何かやれると言うことです。
大事な点は、評価の見えにくい教師の仕事だからこそ、教師として『手を抜かない』という事でしょうか。 |
☆任された仕事は 自分の為と他の仲間の為にそして全体の為にマクドナルドで たいせつに考えられたのは、『他の人の事を考えて、他の人がやりやすい様に』『みんなの協力で仕事をする』という点でした。教師に置き換えたなら、
生徒は自分だけで教育しているわけではないし、学校という組織での指導が より多角的であり有効な事は明白ですから、当然その組織に属する自分にも仕事分担があります。そのような 目的も効果も明らかな組織に属しているのに、 自分の仕事さえさっさと終えれば良い という考えは、チームワークを乱してしまい、結果的に 生徒にも不利益を与える事になりかねません。 自分の仕事だけやっていたのではいけない…ということです。もちろん、自分に与えられた仕事はやりきることが前提ですが。 マクドナルドで『みんなの協力』で追求してきたところの、全体に共通の事柄QSC(クオリティの向上・維持、のサービス、 清潔さの追及)とTLC(何事にも 優しく、愛情をこめて、注意深く取り組む)という、2つの大目標は、解釈を教育の現場にアレンジすれば 充分 当てはめる事が可能で、マクドナルドと同様に、『みんなの協力』で取り組めるものだと思います。 これについても、各自の裁量によって より高いレベルを追及し、学校全体でも高い目標を持ち、実践しなければなりません。 たとえば言葉遣いの悪さなどは、教師一人で取り組んでも効果はあまり望めないでしょうし、教師の一人でも意識が低ければ、生徒の向上は望めないでしょう。『みんなの協力』が必要です。 だから日頃からミーティングで課題を挙げ、弱い点などを確認し、その克服のために小目標を立てたりする必要があるのです。 |
Z、最後にマクドナルドでは 各自が時給のアップを願い、一生懸命自分の技術や知識をレベルアップさせていました。しかし、実は 時給を上げるためにがんばったという面もありますが、違った所からもやる気が出ていたように思います。文章中には『手を抜くと 干される』とか、まったくそのような手抜きのクルーがいないように書きましたが、実際 うまく手抜きをすることも可能でした。特にベテランのクルーは。 しかし、手抜きをするクルーはいなかった と言えます。
その理由は、(すごく気恥ずかしい想いなのですが)、
話を学校に戻します。
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