§中国史を味わえる中国の博物館§



中国歴史博物館(北京)

 中国史を思う存分味わいたいなら、やっぱりここが一番かも!結構たくさん展示品があります。特徴は「中国史のお勉強が出来る!」。文物と共にパネルや銅像などでたっぷりと歴史に浸れます。
 北京や台湾の故宮博物院が美術館に近いのに対し、これぞ歴博という感じで個人的には一番好きなタイプの博物館です。青銅器ではやたらでかいのが「どんどんっ」と置いてあり、迫力がありました。
 時代毎に並べられていてゆっくり見ていたら古代だけで疲れます.私が行ったとき(92年夏,95年春)には一階が唐までで,二階がそれ以降でした。もっとも2回目に行ったときには二階は立入禁止でした(;_;)。その後、再び全館開館しているようです。
 私が行った時には共産主義の唯物史観の雰囲気が漂っていて「これぞ、中華人民共和国っ!」って感じの博物館でした。別にいいんですけど(^^;;)。
 WWW上の情報としては宣和堂様中国歴史博物館がお薦めです(^^)。[99/01]

北京故宮博物院(北京)

 北京の故宮博物館というのは明、清で使われた王宮をそのまま博物館にしたものです。
 明清時代の知識のない時に一回行ったきりなので、ほとんど忘れてしまいました。だだっぴろい敷地内に宝物がぽんぽんと置いてあった気がします。映画「ラストエンペラー」で使われたことも有名ですが,中国歴代王朝の王宮での雰囲気が良くわかります
 WWW上の情報としては宣和堂様故宮旅游指南がお薦めです(^^)。[93/8]


上海博物館(上海)

 大規模な中国歴史文物博物館が1995年にオープン!北京歴史博物館に劣らない規模と、それ以上のカッコ良さを誇ります。
 青銅器、陶磁器、絵画、印璽などのコーナーに分かれ、その量にはただただ圧倒されるばかりで、博物館好きとしては数日は軽く潰せそうです。今までの中国らしくない近代的さもちょっとは魅力(^^)。
 ただし、メインは「歴史」ではなく「中国歴史文物」であって、「歴史博物館」と違い中国の歴史を学ぶためという感じの博物館ではありません。台北の故宮博物院に雰囲気が似ていて、中国が台北故宮に対抗して作ったような感じです(^^;)。もうちょっといろいろ説明が欲しいと思いました。
 でも歴史好きにはやっぱり見逃せない!何回も行くぞ!(^^)。[97/3]


上海市歴史博物館(上海)

 上海市の歴史文物を展示した博物館。上海は所詮新しい都市なので、近代以前の文物はほとんど無いに等しいです。充実しているのは列強による解放以後で、上海が租界として近代化を否応なしに進められていく様子が分かります。日本で言うとまさしく「明治期西洋化の歴史」みたいな展示物がほとんどですね。[97/3]


南京博物院(南京)

 昔は中国の三大博物館に入れられた伝統ある博物館。
 広いっ!北京歴史博物館並の広さを誇る気がします。文物の種類で分けた部屋あり,時代順に追っていった部屋あり,中国の多民族性を表す部屋ありと内容は充実!最大級の館蔵数を誇るだけでなく展示数がかなりあるのが嬉しいです。
 ただし,薄暗く(まあ良い),ちょっと寂しい雰囲気(どーでも良い),開館時間が短い(これは悲しすぎ;_;)などの従来の中国っぽい博物館でした。また文物も珍しいものばかりというわけではないっぽい気も。私が行ったときには絵画は展示していませんでした。まあまあ,取りあえず数で圧倒されます(^^;)[98/10]

南京市博物館(南京)

 所詮は地方で作った博物館,とまあそれほど期待していなかったのですが,見事に嬉しい意味で裏切られました
 私の行ったときにはたまたま絵画の特別展があり,揚州八怪や金陵派の作品がありました。そして本館自体は「六朝時代」の紹介展示!中国らしくない(^^;;)洒落た作りできちんと六朝時代を紹介してくれていたようです。しっかり見れなったのが無念無念(;_;)。いつかまた行ってやる〜。
 ちなみにこの博物館は,故宮の遺物が見つかったという朝天宮,実質的には孔子廟を使っています。その前は骨董品街になっています。[98/10]

太平天国歴史博物館(南京)

 朱元璋が呉王であったときの屋敷に端を発し,太平天国の東王,楊秀清の屋敷跡の場所です。当時使われた大砲が庭にあり、そこを抜けていくと東王の屋敷に太平天国の展示がしてあります。文章が多く,なかなか見甲斐がありますが,考えて見ればそれほど展示品は多くない気が(^^;;)。でも太平天国の前知識をちょっと持っていれば結構楽しめます(^^)。
 そうそう!歴史の教科書とかで有名(?)な太平天国の玉璽のスカーフのお土産がある!これは買うしかない(^^)!




重慶博物館(重慶)

 四川の歴史文物、すなわち青銅器、陶器、画像磚、石刻などが結構置いてあります。
 中国では日本ほど青銅鏡は注目されていないといわれますが、青銅鏡の特集があったのには感激!また、重慶は古代の巴にあたる国でしたが、古代には巴蜀に独自の文化(未読の絵文字などがあったのです!)があったことが書かれていて非常に興味深かったです。産地別に陶器の特徴を並べていたのも面白いです(でも陶器は苦手^^;;)。何故か日本語が話せる人がいました。[97/3]

収穫図書像磚

湖北省博物館(武漢)

 湖北省と銘打っている割には湖北歴史文物を総合的に展示しておらず、メインというかほとんどは戦国時代の「曽侯乙墓」の出土文物でした。青銅器、武器、楽器などがありましたが、漆器が多かったのが興味深いです。ただし漆器はレプリカが多かったです。
 また当博物館が「ウリ」にしている「鐘」(古代の楽器)のセットは小部屋一杯に置いてあり、流石に圧巻でした。静かな館内で鐘の音が流れているのも良い感じです。[97/3]

前後蜀陳列展[王建墓](成都)

 王建は五代十国で前蜀を創建した人ですが、その墓が内部公開されています。棺がユニークでそれだけでも歴史好きには一見の価値ありですが、感激なのは敷地内にある「前後蜀陳列展」でした。小さい小部屋だけの展示物ですが、前後蜀の歴史文物と説明が結構あって実に面白かったです。「前後蜀陳列展」なんてここ以外には出来ないに違いない!(^^)。
 五代十国の蜀のユニークさがよく分かります。文物も素朴さと端正さがミックスしていて実に良い感じでした。
 ああ〜、こんなふうにして全ての地方国家の陳列展が出来ればいいのに(^^)。[97/3]

浙江省博物館(杭州)

 かなり綺麗な博物館です。展示物もかなり豊富。
 浙江省は河姆渡文化,良渚文化などが出現した所。春秋時代には呉越が争った地。そして漢以降は青磁の発祥である越窯が現れた地。宋時代には「江浙実れば天下足る」と言われ,後にはさらに飛躍し第二次産業である繊維産業などが栄えた地。ということで展示品はいっぱいあります!
 貨幣ばかりの展示館や,陶磁器の展示館,特別展として呉越国の皇族の墓の遺物展示などがありました。そうそう!,敷地内には乾隆帝時代に『四庫全書』を納めた文潤閣もあります。
 となりにある西レイ[水令]印社は今世紀始めに出来た歴史ある金石学の学術団体の活動した場所。博物館とともに西湖を臨んでいい感じです(^^)。[98/10]

蘇州博物館(蘇州)

 私が行ったときには結構シケていました(^^;;)。面白かったのは結構いろいろある陶磁器(しかしこの部屋が電灯がついていなくて暗かった^^;;)と,この屋敷が忠王,李秀成のものだったことに基づく彼の紹介くらいでしょうか。
 特別展として印章をだ〜っと並べてある展示があったのですが,時代など説明が皆無で単に並べてあるだけで訳分かりません(伏せてあるだけのものも多かった^^;;)。
 あとは麻薬撲滅運動特別展がやっていました(^^)。これがやっていたから文物展示は貧相に見えたのかな。
 所蔵品は多いそうですのでまた来るときにはたくさん展示してあると嬉しいのですけど。[98/10]


國立故宮博物院(台北)

 世界四大美術館の一つ。清滅亡の際、宮廷にあった美術品を回収しましたが、それらは国民党の逃亡と運命を共にして台湾にまで持って行かれました。もともと宮廷にあった上、持ち逃げの際に精選され逸品ぞろいになったそうです。
 話に聞いていたようにやっぱり素晴らしいです。しかもガイドブックや展示記述などを併せると説明がかなり丁寧。分量としてはゆっくり回ると一日では足りないぐらいです。しかし展示してある文物は一部だそうで、有名な逸品が見れるとは限らないのが悲しい(;_;)。

 さて勝手な感想ですが、青銅器に関しては碑が残っているものを極めて重視しているようで形が珍しいものは多くありません。また大きさもやはり小粒なものがほとんどです。個人的に面白かったのは当館では唯一の考古学的発掘文物である殷の陵墓の文物です(こんな所にあるのは知りませんでした)。陶磁器は様々な窯のものが置いてあって楽しく、窯の特徴を覚えたくなってしまうほどです。玉製品は本当に「宝物」的なものばかりです。
 友人の話によると食堂は一回出た正面左の所にあるそうです。セルフサービスの店で一人でも食べやすそうだとか。私は知らずに踊り場でお菓子でお腹を満たしました(^^;;)[97/10]

國立歴史博物館(台北)

 故宮にはあまりない唐三彩などを中心に特別展などもやっているようです。ガイドだと北京原人の資料も豊富と書いてあったのですが、私が行ったときにはありませんでした(;_;)。
 故宮に比べるとやっぱり展示物の少なさが目立ちます。でも説明書きなどは丁寧でそれなりに楽しめました。(私の好きな)青銅器に関しては内容的にも量的にもちょっとしょぼくてがっかりしました[97/10]。

鴻禧美術館(台北)

 個人コレクションの中国文物美術展です。青銅器、陶磁器、観音像などがあります。正直言ってそれらに関してはがっかり。青銅器は数えるほどしか無く、陶磁器は絵柄が華やかな作品ばかりに偏っていました。
 でも乾隆時代の宮廷書画は良かった!清末に英仏日本などによって破壊された北京圓明園の西洋建築物の絵や、乾隆帝が地方を平定した様子が西洋人によって書かれた細密画(っていうのか?)、中国人によって書かれた満州八旗の絵が結構かっこいいです。
 私としては故宮を十分見てそれでも時間が余るなら行くべき、という感じでしょうか。「地球の歩き方」に情報が載っていますが場所が間違っています。確かに見つけにくかったです(^^;;)。[97/10]