かくとくもの

 中国とかに行くと日本ではそうそう簡単に得られない「宝物」を見つけて手に入れてくるのが一つの楽しみです。骨董品的なお土産だったり、怪しげな商品だったり、漫画だったり、本だったり。この頁では台湾旅行で手に入れた「かくとくもの」を紹介します。
正一品 小依時空歴験記(原書名「さよりなパラレル」)

 今回、他の文物をはねのけて一位になったのは文句無しこれ(^^)。
台湾では日本の漫画の移植版が溢れかえっている。話によると以前までは海賊版が横行していたのだが、協定が結ばれてからは日本の出版社と契約がなされ、きちんと版権が取られるようになったらしい。これは知的所有権の問題から言って良いことである。

 しかるに!そのためか普通の本屋さんにはある程度メジャーな日本の漫画しかない。というか大手出版社の漫画しかないようなのだ。今回、たくさん日本の漫画があるのを見たとき「竹本(泉)さんの漫画を買っていこう」と思ったのが運のつき。マイナーな出版社からしか出していない竹本作品を探すのに苦労することとなる。

 「あんみつ姫」は講談社(?)のためか一応出版されているらしいのだが、見かけたのは台南で一度きり(買い損ねた^^;;)。しかも「あんみつ姫」は、あまり私のお気に入りではない。是非とも自分が納得できる竹本漫画が欲しい。

 台南の本屋で探しまくり、台北に来て、重慶南路と言われる本屋街を探すが竹本作品は全くない。そして最後、パソコンソフトと古本で有名な光華商場へ行くこととなる。
 「協定が結ばれる前なら竹本作品があったのでは?」という淡い期待を寄せつつ、友人に「ないない」とからかわれながら探し回ること数時間、古本のひもでいっぱひとからげにしてある中にあったのがこれであった!我ながらよくぞ見つけたものだ(^^)。久しぶりに目的の古本を見つけて感動に打ち震える体験をさせてもらった

 約160円。海賊版かは不明。一番後ろの頁には一応、(C)マークもついていて原書名「さよりなパラレル」も明記してある。作りは竹本作品で有名な「あとがきの頁」もきちんと移植されているほか、台湾で一般的でない擬音語、擬態語には注がついている(例えば「ばん (bah)突然出現」「パリン(parin)破窓而出的声音」)など非常に丁寧な作りで、ここまでやるかという感じ。

従一品 中国人名大辞典

 以前買った中国人名辞典が不服で、是非もう一度探したいと思っていた。上の漫画と同様に台南と台北で探すがなかなか見つからない

 ようやく見つけたのが広辞苑ぐらいの大きさのこの本。約6400円。実はこの本、中国か日本で以前にも見たことある気がするのだ。今回、改めて見るとなかなか引きやすいし、人物もかなり網羅している。出版が民国十年というから1921年ということでかなり古い。民国の部である続編がついているのはもっともなことであろう。

 それにしても台湾には他の人名辞典が見つからなかった。先進国だし、歴史人名辞典ぐらいさぞや多いだろうと思っていたので残念。有名な人物の履歴を書いた本はたくさんあったけど、マイナーな人をも網羅した辞典と呼べるようなのは全然見つからなかった。手に入れたこの本はなかなか良いので、歴史あるこれがあるので他の辞書は必要なかったのかもしれない。

 もちろん私が探し損なっているだけという可能性もあるのだけど。そういえば久保田様に教えていただいた「二十五史人名索引」も買った。ひ〜、しかし考えてみれば二十五史を買わなければあんまり意味無いかも(^^;;)。しかも出版社は「台湾開明書房」なのでペーパーバックで売られている保証もないし...まっ、いいや(^^)。

 取りあえずまぐ様から教えていただいた管至父が載っていた。うむむ〜。

正二品 台北国立故宮博物院案内

 故宮博物館のガイド。約3000円ぐらい。日本語版が売っているのだが、丁寧な作りに感動した。絵画などの説明も丁寧な他、陶磁器は窯ごとに特徴の説明がついており、しかもなかなか歴史的な背景なども書いてある。私は今まで絵画や陶磁器などの中国文物は苦手で、そろそろ詳しく知りたいと思っていたのだがこの本はそんな私にぴったりだ。故宮のガイドとしてだけではなく、これから中国文物を見るときなどにも持っていけそう。

 もちろん故宮のガイドとしても良く出来ていて、たくさんありすぎる故宮の文物の見所がよく分かる。部屋が多くあり、迷子になりがちな故宮では、ついている地図も重宝する。ただし、故宮は展示されていない内蔵品も多く、これに載っていても見れないものが多くあるのが残念。また是非行きたいなあ。

従二品 台南歴史散歩(上)(下)

 私にとって旅行はあくまで歴史を浸るためが一時目的であって食べることや、ショッピングが一時目的にはなり得ない。そんなわけだから、歴史観光地において、それについての文献上の知識を持っているか、または知ることが出来るかで楽しめるかが大いに違う。事前の知識はあればあるほど良く、ないと第一回目の中国旅行のように「唐時代以降ってよく知らないから思い入れも沸かないな〜」なんて見方しか出来ない。だから知識をたくさん持っておじいさんになって旅行するのが一番楽しそうだとか思っている

 前置きが長くなったが、つまりは観光先の歴史知識は出来るだけ知っておきたいということであり、観光地について詳しく書かれたガイドは是非見たい。そんな場合、台南で役立つのがこれであった。一冊約1100円。

 台南は古都であり、もっとも早く開けた土地である。台北の故宮と共に、台南へ行くべきだと気がついたのは旺春峰様のこの記述であり、とても感謝しているが、まあ所詮明末以降であり、行く場所がわんさかあるわけでも、中国史の中でメジャーなわけでもない。

 そんな中でこの本を台南でまず見つけたのは大いなる幸運であった。台南の歴史から、観光地巡りのための地図、個々の観光地の細かい説明はもちろん、台湾に多い廟の神様の説明まで載っている。中国語なので推測でしか読めないことを除けば実に素晴らしい本であり、台南旅行が充実していたのはこの本のお陰である。

正三品 風之谷 四巻(邦題:風の谷のナウシカ)

 知る人ぞ知る漫画版ナウシカ。アニメ版の背景にはあまりに重く、壮大なスケールの漫画版がある。作者は日本人では知らない人の方が少ないであろう宮崎駿。中国には三回行ったが、当時の私にとって今回の竹本漫画に相当するのが宮崎作品であった。

 四年前の中国では、徳間書店のFilm Comicをカラーコピーしてホッチキスで閉じ、しかも内容をすごくぶっちぎって「腐海の決戦」とかいうタイトルをつけた超海賊冊子を手に入れてとっても感動。二年前の中国では、ビデオ屋さんでラピュタらしきタイトルと表紙に宇宙戦艦ヤマトらしき裏表紙という、わけのわからないビデオが置いてあり感涙(買わなかったのは結構不覚かも^^)。そんなこんなをしてきたわけであるが、今回の台湾では(私の宮崎熱が冷めたこともあるが)あまりに宮崎作品がメジャーすぎて探すのも面白くない

 「ジブリがいっぱい」の中国語版ポスターはやたら貼ってあるし、VCDも売られているしで漫画の翻訳版も当然あったのがこれである。約600円。四巻を買ったのは個人的に好きだから。英語版と同じで見開きは逆。ご丁寧に日本と同様(私お気に入りの^^;;)ポスターまでついている。きちんとした作りは版権を貰っているから当然か。でも好感が持てる。

従三品 風之谷VCD(邦題:風の谷のナウシカ)

 台湾には漫画同様、日本のアニメのビデオやVCDが多く売られている。そんななかで買ったのがこれ。約2000円。これに関しては前述同様、買うのにも苦労しなかった。
正四品 新世紀福音戦士VCD 7巻(邦題:新世紀エヴァンゲリオン)

 エヴァにははっきり言ってハマっていない。残念ながらハマれなかった。一応全話見て、映画も見ているが、やっぱり関連書籍や一部グッズを集めまくらないと、とても私の場合、ハマったとは言えない。しかし、無視することの出来ない作品でもあり、ずるずると今まで来ているというのがエヴァとの関係である。

 ハマったという点では庵野さんの前作品であるナディアの方がはるかにハマっている。貞本さんも好きである。

 まあ、そんなこんなで買ってしまいました。約1200円。七巻を買ったのは単にマヤさんが表紙だったから。う〜む、しかし全巻買ってVCDで揃えるという手もあったのであろうか。でもVCDって画質は劣るそうだし、テレビで見る機械も持っていないしな〜。でもエヴァのDVDの表紙って気に入らないな〜。

 ちなみに実はエヴァのビデオ、十一巻以降って売られていたのですね。台湾で売られていて初めて知りショックを受ける(^^;;)。とはいうものの既にテレビで見ているからいいけど。


[総括]
 今回は本が中心であり、ちょっと怪しげな青銅器とかがなかったのが残念。光華商場近くの骨董街に涎が出そうになる青銅鏡とかはあったのだが、今回は見送った。また中国とは違い台湾と言うこともあって「ばったもん商標」はあまり見つからなかった。そういえばサントリーの烏龍茶とそっくりなデザインの烏龍茶(無糖ではない)があった。しかしやはり以前の中国旅行で味わった「偽物スプライト」程のインパクトはない
 竹本作品が一位になったのは、その苦労から致し方ないことであろう。また、探した割には以前見たことのある気がする人物辞典を買うことになったのは若干残念であった。
 そういえば宋太祖(趙匡胤)の演義ものがあるらしいとも聞いており、いつか欲しいと思っていたが探しそびれてしまった。今後の課題であろう。
(注1)竹本泉
 一部に根強いファンを持つ自称「少女漫画家」。しかるにもはや客観的に見たらどう考えても少女漫画家ではない。作品の「のーてんきさ」と独特なファンタジー世界が非常に魅力的。
 早くから多角メディア戦略に手を出し、インタラクティブコミック(実質内容はキャラクターアドベンチャーゲーム)「ゆみみっくす」や漫画をもとにした音楽ストーリーCD「ねこめ〜わく」などを製作、作詞家としてものーてんきな歌詞を作る才能を見せつけている。
 最近ではセガサターンで「だいなあいらん」を発売、一部で話題を呼んだ。

(注2)宮崎駿
 アニメーター、アニメーション作家。日本最初の長編アニメーション「白蛇伝」を作った東映動画に入社。その後、所属を変え世界名作劇場の日本アニメーションなどで活躍。「未来少年コナン」「ルパン三世 カリオストロの城」などで名を馳せた後、「風の谷のナウシカ」「となりのトトロ」などで名声を決定的なものとする。その後もコンスタントに質の高い作品を作り出し、協力会社とのタイアップも成功して、商業的にも成功路線をたどる。最近では満を喫して送り出した「もののけ姫」が大ヒットしている。本人の毒舌ぶりは一部でつとに有名であり面白い。
 私の宮崎マニア歴は六年半。学生時代には中国史と趣味の双璧をなした。惹かれたのは魅力的なキャラクターと内容の深さ、そして何よりも宮崎さんのインタビュー、考え方の面白さであった。
 宮崎さんの本をほぼ集めきったことや、最近ではのーてんきな竹本作品の方に惹かれているため、すっかり宮崎熱は冷めている。が、それでも「もののけ姫」は四回映画館に見に行っている。