一九九八(平成一〇)年は、蓮如上人五百回遠忌法要の年でした。元上組(もとがみそ)でもご法要に向けて団体参拝を企画し、十月三日に二五〇名余りの皆様と共にご本山(西本願寺)でのご勝縁にお遇いし、感動を共にすることができました。

このご法要のなか、ご門主さまが『ご親教』として、具体的に、「寺だより」の発行、「お内仏・ご本尊」のご安置、「話し合い法座」の推進の三点を、私たちの課題としてご教示くださいましたことは、記憶に新しいところであります。

また、ご法要の『ご満座のご消息』では、

と、お示しになられ、私たちの人生のあるべき姿として、「如来のみ心にかなう生き方を志す新しい人生」をご教示くださいました。

私たちの宗門やお寺は、長い歴史を持っております。そのことは誇るべきことでもあります。しかし、一方では、その歴史のなかに、私たちが、親鸞聖人や蓮如上人のみ教えから、いつしか離れてしまっていることも考えなくてはなりません。

例えば、私たちの「仏事」をめぐる、さまざまな「習俗」や「習慣」のなかでも、教えから離れた現実を見ることができます。「あたりまえ」「常識」と思っていることが、浄土真宗のみ教えから大きく離れていることが多くあります。
この地域の習慣だから、昔からこうやっているから、あるいは、そんな細かいことどうでもいいではないか等々と思われる方が多いと思います。しかし、親鸞聖人のみ教えは、私たちに「いのち」の尊厳と平等を示して下っています。そのみ教えに反する「習俗」は、私たちの「いのち」を損なうものです。そのことを考えたいと思います。

このたび、元上組では『仏事のしおり』を編纂し、ご門徒の皆さまに「元上組だより」としてお届けさせていただきます。この『しおり』によって、お葬式やご法事そしてお内仏などの正しいあり方を、僧侶・門徒が共に「話し合う」なかで、「如来のみ心にかなう」仏事のあり方を求めていきたいと思います。

二〇一一(平成二三)年には、親鸞聖人七五〇回大遠忌法要を迎えます。そのご法要に向けて、私たち元上組の「仏事」のあり方を含め、さまざまなものを点検し、親鸞聖人のみ教えに生きる僧侶、門徒になることをめざし、共に「如来のみ心にかなう」元上組をめざしてまいりましょう。


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